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M&Aの会計と税務

■M&Aがもたらす税効果

M&Aにおける税務で考慮すべき点は、M&Aがもたらす税効果でしょう。簡単に言えばM&Aによって生じた利益は課税されるため、利益が多ければ多いほど支払う税金は多くなります。おおまかに言えばM&Aで得た利益の50%近くを税金として支払うことになる場合もあります。違法な脱税はともかく、支払う税金を少なくする節税を考慮したM&Aスキームを選択するのも非常に重要な作業となってきます。のれんや含み損を上手く利用するのも一つの手だと言えます。売り手企業から引き受ける負債がある場合、その負債も含めて買い取り、その負債や繰越欠損金を使い税金を減額することが可能となります。但し、様々な条件を満たさなければならないので注意が必要です。


■法人税と所得税

またM&A当事者である売り手買い手が個人か法人かによって課税の仕方が異なってくることにも留意します。簡単に説明すると、個人に対する利益は所得税が課せられることとなり、法人には法人税が課せられることとなります。


■合併

買収後に買い手企業と売り手企業が合併し、売り手企業は消滅してしまう場合を吸収合併と呼ばれます。2つの会社が合併し、そのうち1つが存続しもう片方の企業は消滅することとなります。この場合は、売り手企業は買収価格を受取り清算されたと考えますので、売り手企業の個別財務諸表ではM&Aにおける損益が計上されます。
合併における会計はパーチェイス法が適応されます。パーチェイス法では買い手企業が売り手企業から買い取る資産・負債を時価による評価を行います。買取り価格と買取った資産・負債に差異がある場合はのれんとして認識されます。のれんは20年に渡って定額法等により償却します。必要であれば減損処理を行います。
50%以上の議決権を得て売り手企業を支配し子会社化する場合、買い手企業は売り手企業の親会社となり、売り手は子会社となるため、個別の財務諸表以外にも連結財務諸表が作成されます。個別の財務諸表はそれぞれの会社の株主に対して作成されます。その会社の持つ資産・負債が貸借対照表に、費用と収益が損益計算書に記載されます。
仮にM&Aがグループ企業内で行われた場合、例えば親子会社間、子会社間の取引によって生じた収益および費用は連結財務諸表では計上されません。ただしM&Aの対象が支配を持たない関連会社の場合は持分法が適応されます。M&Aを行った結果、売り手企業がグループ企業に新規加入することや、売却したことによりグループから除外されるなどグループ内再編が起こる為、連結財務諸表では取扱いに注意が必要です。


■統合日

M&Aが行われ企業が合併・再編をする場合、会社法によりM&Aがなされた日とみなされるのが統合日です。買い手にとっては買収日、売り手にとっては売却日となります。会計上はこの日に買い手企業は売り手企業の資産・負債を受け入れることになります。M&A取引すべてこの日の時価に基づいて評価されます。株価も統合日の株価が用いられます。


■会社分割

仮に売り手企業の事業の一部のみを売却する場合、売り手企業はその売却する事業への投資が継続するか清算するかによって会計処理が異なります。清算されたとみなされた場合、その事業とその支配は買い手企業に渡り、売り手企業は支配をなくすという意味になります。この時、受け取った買収価格の時価と譲渡した事業との差異を損益として認識します。買収が現金で行われた場合は清算されたことになります。それに対し、売り手の売却した事業への投資が継続しているとみなされる場合、M&Aによる損益を認識しません。


■株式交換

株式交換が行われる場合は、買い手企業は親会社、売り手企業は子会社となり親会社は子会社の株式100%全てを取得することになります。この場合もパーチェイス法が適用され、親会社となる買い手企業の株価に基づき子会社となる売り手企業の株式が株式交換日における親会社の個別財務諸表に計上されます。連結財務諸表では子会社の投資と資本が相殺されのれんが認識されます。株価は株式交換日の株価で評価するので簿価との差異は当期のM&A取得に関わる損益として認識されます。


■株式移転

株式移転では、親会社となる買い手企業にとっては新規設立という点が株式交換と異なります。会計処理はパーチェイス法が適用され、買い手企業の株価が用いられます。株式交換と同じく、子会社の投資と資本が相殺されるのでのれんが発生します。


■のれんの会計処理

日本の会計基準ではのれんは減価償却する費用となるので節税効果があります。のれんによる節税効果を期待する場合、売り手の資産・負債は全て時価評価される必要があるので留意します。
では、そもそも「のれん」とは何でしょうか? のれんとは買収額と、売り手企業の資産負債の合計金額との差額のことであり、プレミアムと呼ばれたりもします。資産には有形資産から無形資産のように形のないもの、例えば特許やノウハウ、ブランド、人材、トレードマークなど様々なものがあり、M&Aを行う際にこれら全てを評価し出来るだけ財務諸表に資産として計上するようにします。


■グループが利用出来る優遇税制

一定の要件を満たしたグループは、グループ法人税制や連結納税制度、組織再編税制などが利用できる場合があります。この場合、各々の会社ごとに納税を行うのではなく、グループとして納税をすることが認められる、グループ内での取引に対する課税を繰り延べられるようになるといった制度があります。
連結納税制度は、グループ全体の所得と欠損を合算してグループとして法人税を支払う制度です。グループ法人税制とは、グループ内での一定の取引について、それぞれの企業の法人所得から発生した損益を繰り延べられるようになる制度です。組織再編税制とは、組織再編の際に行われる株式交換や移転、会社分割などを行った際に発生した損益を繰り延べられる制度です。


■国際会計基準が与えるM&Aの会計・税務への影響

世界の会計基準を統一化しようという動きがあります。日本には企業会計基準委員会が制定した日本の会計基準があり、米国では米国の会計基準USGAAPが適用されています。国際的な投資を行う際にターゲットとなる企業の財務諸表を分析しますが、その財務諸表が国ごとに異なっていると投資の際に売り手の財務諸表で表された数値や評価や算定方法そのものが異なる場合があるため、買い手は自国の会計基準に合わせ再評価する必要があります。その手間は相当なものでかなりの時間と費用を費やします。
もしも買い手と売り手が同じ会計基準を採用してれば、もっと簡単に素早く国際投資が出来るのにと思いませんか? タイムリーで迅速な国際的投資を加速させる意味合いでも国際会計基準(IFRS : International Financial Reporting Standards)への移行が世界的に広がっています。
日本でも2015年度を目途にコンバージェンス(移行)という形で日本の会計基準を国際会計基準に限りなく近づけ差異をなくすようにすることとなっていましたが、金融庁の発表によると、日本はアドプション(全面採用)することとなることになりました。
国際会計基準がM&Aに及ぼす影響点を挙げると、従来の日本の会計基準では取得原価を採用し、時価評価は部分的に採用されるに過ぎませんでした。一方、国際会計基準はというと、時価評価を標準採用しています。企業を買収する場合は時価で購入するというコンセプトになります。
また国際会計基準は、連結財務諸表は従来の親会社コンセプトから経済ユニットごとに作成される単一経済ユニットコンセプト(Economic Unit Concept)が採用されています。従来の連結財務諸表はあくまでも親会社のために作成されるという以前のコンセプトから、支配持分を所有する大株主から影響力の少ない・または全くない少数株主を含めた全ての株主のために作成されるコンセプトとなりました。それに伴い、以前の連結財務諸表には含められていなかった非支配分持分(Non-Controlling interest)が含めれ、親会社の持分と共に非支配分持分も資本に含まれて表示されます。
またIFRS3によると、非支配持分(Non-controlling interest)を測定する以下の2つの方法が規定されています。
1. 公正価格または時価で評価する
2. 売り手企業の識別可能純資産における非支配持分の按分割合で測定する
また、のれんが発生した場合も以下の2つの方法のいずれかで測定することとなります。国際会計基準におけるのれんとは、買収価格と売り手企業資産を可能な限り全てを時価で評価した差額となり、PPA(Purchase Price Allocation)が適応されます。
これは例えばノウハウ、人材、特許、トレードマークやブランドといったもの全てを測定し財務諸表に計上していく方法です。またIFRS3によると、のれんを測定する以下の2つの方法が規定されています。
1. のれん全部を認識する
2. 売り手企業の持分に対するのれんだけをする
従来の日本の会計基準ではのれんは一定期間に渡り償却することとなっていましたが、国際会計基準では償却することは認められておらず、毎年のれんを減損する必要があるか評価することを要求しています。国際会計基準は毎年のれんを償却処理する日本の会計基準と違い、一度に減損処理を行いますのでその影響は大きくなることに留意が必要です。
また、買い手と売り手の財務諸表の報告日が異なる場合、親会社となる買い手企業の報告日と売り手企業の報告日の間で発生した全ての重要な取引や影響のある取引を調整します。



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