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タイの会社法

目次

1.株主 ■株主数 / ■株主総会 
2.取締役 ■取締役の人数 / ■取締役の居住と地国籍 / ■取締役の選任・解任 / ■代表権
3.会計監査人 ■会計監査人 / ※税務監査人
4.株式 ■株式の種類 / ■非公開会社の新株発行 / ■増資に関する規定 / ■減資に関する規定 ■自己株式
5.リンク リンク一覧

1. 株主

タイで事業活動を行う法人は民商法典の規定に従い活動しなければなりません。公開会社の場合には、公開会社法の規制も加わります。

■株主数
タイでは、非公開会社の場合には3名以上の株主(民1237条4項)、公開会社の場合には15名以上の株主を設置することが義務付けられており(公155条)、これを下回ることは許されていません。

■株主総会

●株主総会の種類
タイにおける株主総会は、会社設立登記前に行われる創立総会、会社の登記日から6か月以内に開催されその後年に1度開催される定時株主総会、取締役が必要と認める場合などに開催される臨時株主総会の3つの種類があります(民1171条)。

●株主総会の決議方法
株主総会は会社の最高意思決定機関であり、役員の選任や決算書の承認、配当の決定、増減資など、会社にとっての重要事項は取締役ではなく、株主総会決議により決定しなければなりません。

[定足数]
非公開会社の場合、総株式の25%以上の株主が出席しなければ決議を行うことができません(民1178条)。また特別決議事項についてはさらに要件が厳しくなり、75%以上の株主の出席が必要となります。これを下回った場合の決議は有効とはなりません。
[議決権]
決議方法は原則として挙手によるものとされ、挙手により決議が行われる前に2人以上の株主が投票による決議を要求した場合には、投票により決議が行われることになります(民1190条)。特徴的なのは挙手により決議が行われる場合には、出席株主1人につき1議決権が付与されることです(民1182条)。

2.取締役

■取締役の人数
取締役の人数は民商法典においては規定がないため、非公開会社では最低1名以上いれば良く、国籍も関係がないため、日本人のみで取締役を占めることが可能です。
一方、公開会社では5名以上の取締役が必要とされ、かつ半数以上がタイ国内に居住地を有している者でなければなりません(公67条)。

■取締役の国籍・居住地
公開会社の場合は、半数以上がタイ国内に居住地を有する者でなければなりません(公67条)。
一方、非公開会社の場合は規定がありませんので国外居住者が取締役となることができますが、各種の手続きをタイ国内で行わなければならないことが多いのでタイ国内に住居を有している者が取締役となっています。

■取締役の選任・解任
株主総会に取締役を選任・解任する権限が与えられているのは、日本と同様です。非公開会社では選任・解任共に普通決議で行いますが、公開会社では解任決議には特別決議が要求されるという違いがあります(公76条)。

■代表権
登記上の代表権のある取締役(Authorized Director) と代表権のない取締役(Non-Authorized Director)との2種類があります。

3. 会計監査人

■会計監査人
日本では上場会社や会社法上の大会社のみに会計監査人設置義務がありますが、タイでは会社の規模・業種を問わず外部監査が必須とされており、全ての会社が会計監査人を設置しなければなりません(民1209条、公120条)。
会計監査人は(一部の要件を満たすパートナーシップを除き)タイ国公認会計士でなければなりません。また民商法典上、会計監査人は会社の株主となっても良いとされていますが、会社との間に利害関係を有する者、取締役、従業員などは選任することができません(民1208条、公121条)。
会計監査人は会社が作成する決算書の監査を行い、監査報告書にて決算書の適正性について意見表明を行います。監査人には監査を実施するために会計帳簿・証票類の閲覧や質問をする権限が与えられており、会社は監査人の求めに応じて資料の提供や質問への回答をしなければなりません。

※税務監査人(Tax Auditor)
公認会計士による監査が全ての会社に義務付けられていますが、2002年の商務省令の改正により、①資本500万バーツ以下のパートナーシップ、②総資産3,000万バーツ以下のパートナーシップ、②年間収益3,000万バーツ以下のパートナーシップに関しては、税務監査人(Tax Auditor)が行っても良いこととされたため、公認会計士ではなく、税務監査人を選任するケースも増えています。

4.株式

■株式の種類
タイでは、大きく優先株式と普通株式の2種類に大別されます。

優先株式
タイでは普通株式のほか、優先株式を発行することができます(1108条)。優先株式を利用することによって、配当請求権だけでなく議決権などの共益権について株主ごとに優先的(または劣後的)な取り扱いをすることができます。
優先株式の発行は新株の発行時しか認められていないため、①会社設立時、あるいは②増資のタイミングでのみ発行できます。
また日本では一度発行した種類株式を株主総会の決議によって変更することができますが、タイでは普通株式として発行した株式を優先株式に変更することや、一度発行された優先株式の内容を変更することもできません(民1142条)。
議決権について異なる株式を発行することはできますが、日本で認められているような完全無議決権株式の発行は認められていません。株式の分割もタイではすることができません。

■非公開会社の新株発行
設立時の新株発行と、設立後に増資をする場合と2つのケースがあります。

設立時の新株発行
タイでは株式総数を登録資本として定めたうえで、設立時にすべての株式を発行します。しかし、払込みはそのうち25%以上で構いません。残りの未払込分については、取締役はいつでも株主に対して請求をすることができ(民1120条)、この請求を受けた株主は遅滞なく支払いを完了させなければなりません。
支払期限に遅れた株主には利息を支払う義務が生じ(民1122条)、最終的には没収・競売にかける権利が会社に与えられています(民1124条)。

●株式の発行価額
額面より高い価額での発行は付属定款に定めていれば行うことができますが、額面より低い価額での発行(日本でいう有利発行)をすることができません(1105条)。 出資の方法は金銭だけでなく、現物出資によることも可能となっています(1108条)。

増資に関する規定/dd>
非公開会社が設立後に新株を発行して増資をする場合は、既存株主の保有株式数の割合に応じて募集をかけなければなりません。増資の決定は株主総会の特別決議による必要があり、その後商務省へ増資した旨の登記を行い、その後株式の割当数および申込み期限を記載した通知を全株主に通知しなければなりません(民1222条)。
期限を過ぎても申込がない場合や引き受けない旨の通知を受けた場合には取締役はその株式を他の株主に引受けさせるか、自ら引受けることができるものとされています。この引受に基づき株主からの払込が行われ、定款変更の登記をすることで増資の手続が完了します。
減資に関する規定
減資手続をする場合には株主総会の特別決議が必要となります(民1224条、公139条)。原則として全資本の4分の1未満に減資することはできないという点は非公開会社、公開会社共通となっています。
減資をする場合には、債権者保護を図る必要があることから、増資をする場合に比べてより多くの手続を民商法典では求めています。
まず株主総会特別決議にて減資の決定を行った後、14日以内に商務省へ報告をします。次に地元新聞へ減資に関する公告を行い、かつ会社債権者全員に対して通知を行い、30日以内に異議申し立てができる旨を伝達しなければならず、これにより意義を申し立てる債権者がいる場合には、その債務を弁済するか、担保を提供しない限り減資をすることはできません(民1226条)。期限内に意義を申し立てる債権者がいない場合には減資登記を行い手続が完了となります。

●自己株式
原則として会社が自ら発行する株式(自己株式)を保有することは認められていません(民1143条、公66条)。しかし、公開会社法では、積立利益があり財務状態が健全であると認められるなど一定の場合には自己株式を取得することができるとされています。

5.リンク

タイ投資委員会(Board of Investment)
  タイの投資促進機関。優遇政策等を確認できます。

タイ商務省事業開発局(Department of Business Development)
  会社の設立手続き等を規定しています。

タイ統計局(National Statistical Office Thailand)
  人口、社会経済などの統計情報を確認できます。

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