ミャンマー進出支援

労務・労働法

目次

1.ミャンマーの労働環境 ■産業別就人口と労働者の海外流出 ■現地人の雇用義務  ■労働組合と労働争議 ■雇用慣行と労務管理
2.ミャンマーの労働法 ■労働基準に関連する法規 ■労働基準比較

1.ミャンマーの労働環境

産業別就人口と労働者の海外流出
産業別就業者数のデータについても1990年を最後に公式な公表はされていません。ミャンマーの就業人口のほとんどは農業に従事していますが、近年注目を浴びているヤンゴンやマンダレーには工業団地があり、工業に従事する人口も増えてきています。
また、1990年のデータによると、管理職や専門職の割合がどの業種においても少ないことが特徴として挙げられます。これは、出稼ぎ労働者としてタイやシンガポールで就労している労働者が多いことも原因と考えられています。
こういったミャンマー人の海外流出から、ミャンマー国内で質の高い人材や熟練技術者を確保することが難しくなっている傾向にあります。

■現地人の雇用義務
ミャンマーでは、外国人の雇用人数に応じて、現地人の雇用人数を義務づけるような規定はありません。ただし、5人以上の現地人を雇う際には、地方労働事務所に雇用条件を通知して、同事務所から入手した応募者リストに基づいて面接し決定しなければいけないとされています。ただし現在では、労働局に許可を出し、新聞に人材募集の広告を載せることもできます。

雇用慣行と労務管理
ミャンマーでは、賞与は月給の1カ月から数カ月相当を会社の業績や本人の成果などを考慮して支払うことが一般的になっています。支払の時期は、ミャンマーの旧正月の4月前、あるいは年末の12月頃に支給する企業が多くなっています。
そのほか通勤手当、食事手当、家賃手当などについては法的な規制はありませんが、手当てを設ける場合には、就業規則や雇用契約書の中に盛り込むことが必要です。特に工場などにおいては、通勤のための専用の通勤バスを用意している企業もあります。
その他の労務管理上の注意点としては、ミャンマー人は義理人情に厚い人柄であることから、親族や友人たちの結婚祝いにも給与の3分の1から4分の1程度のお祝い金を渡すことがあり、金銭の貸し借りも頻繁に行われる傾向があります。
そのため、従業員間での金銭の貸し借りや、企業への給料の前借を求めてくることがあるので、従業員間での貸し借り、会社への給料の前借りの禁止もしくは上限の設定、貸付制度について就業規則や雇用契約書に明記し、トラブルを防ぐことが大切です。

2.ミャンマーの労働法

労働基準に関連する法規
ミャンマーには、日本の労働基準法のように労働基準に関して定める法律として、工場法(The Factories Act, 1951)、油田(労働、福祉)法(Oilfields(Labor and Welfare)Act, 1951)、商店・事業所法(Shops and Establishments Act, 1951)があります。労働者を雇用する企業は、これらの法律のいずれかに従って労働基準を規定しなければなりません。

・雇用訓練法(Employment and Training Act , 1950)
・雇用制限法(Employment Restriction Act, 1959)
・雇用統計法(Employment Statistics Act, 1948)
・工場法(Factories Act, 1951)
・休日・休暇法(Leave and Holidays Act, 1951)
・最低賃金法(Minimum Wages Act, 1949)
・油田(労働、福祉)法(Oilfields (Labor and Welfare) Act, 1951)
・賃金支払法(Payment of Wages Act ,1936)
・社会保障法(Social Security Act ,1954)
・商店・事業所法(Shops and Establishments Act ,1951)
・労働組合法(Trade Unions Act, 1926)
・労働争議法(Trade Disputes Act, 1929)
・労働者補償法(Workmen's Compensation Act, 1923)

労働基準比較
ミャンマーの各労働法と日本の労働基準との比較は以下の通りになります。

【主な税金の種類】
日本 ミャンマー
労働時間 1日8時間
1週間40時間
会社、商店、サービス業、娯楽施設 1日8時間
週48時間
※娯楽施設以外は1日11時間以上労働は不可(休憩時間を含む)
工場、製造集団事業 1日8時間
週44時間
1日10時間以労働は不可(休憩時間を含む)
工場(連続操業) 週48時間
鉱山(地下) 1日8時間
週40時間
休憩時間 連続して6時間を超えて労働する場合には45分以上、8時間を超える場合には60分以上の休憩 連続5時間労働につき30分の休憩
休日 週1日以上の休日 会社、商店、サービス業、娯楽施設 週1日で曜日はいずれも可
工場、製造集団事業 週1日で日曜日
割増賃金 時間外労働:1.25倍
※月60時間を超える時間は1.5倍の例外あり
深夜労働:1.25倍
休日労働:1.35倍
会社、商店、サービス業、娯楽施設 時間外労働:2倍
時間外労働年間60時間まで
工場、製造集団事業 時間外労働:2倍
残業は週16時間以内、もしくは工場での継続的作業で週12時間まで
工場(連続操業) 時間外労働:2倍
残業は1週間に12時間まで
年次有給休暇 6カ月以上:10日以上
1年6カ月以上:11日以上
2年6カ月以上:12日以上
3年6カ月以上:14日以上
4年6カ月以上:16日以上
5年6カ月以上:18日以上
6年6カ月以上:20日以上
※上記期間の出勤日数要件あり
通常有給の持ち越しは2年間
12カ月連続で雇用された労働者に年間10日間

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