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ペルー進出支援

ペルー進出

ペルーの進出のメリット

ペルーは発展途上国として急進的な発展を続けています。発展途上国への進出で、最も課題とされるのがインフラの状況です。
ペルー政府はインフラ整備に注力しています。2014年には、アキノ大統領がマニラ首都圏の交通インフラの整備に150億ドル(約1兆5300億円)以上の投資を行うことを決定しました。
今後もインフラ整備の需要は増加していくことが予想され、インフラ関連企業の進出が求められています。

進出企業の誘致政策

このような、自国の経済発展に寄与する外資企業の進出を誘致するため、以下のような優遇措置を策定しています。

投資奨励事業分野の制定

毎年ペルー政府の投資委員会(BOI)から「投資優先計画」(Investment Priority Plan: IPP)が発表されています。これに指定された業種・事業は、各種の優遇措置を受けることが出来ます。

  • 1.製造業
    自動車および自動車部品
    造船
    航空宇宙部品
    化学
    紙パルプ
    銅線および銅線材
    鉄鋼
    金型およびダイ
  • 2.農業・漁業
  • 3.サービス業
    集積回路設計
    クリエイティブ業界
    船修理
    電気自動車用チャージステーション
    飛行機の修理
    産業廃棄物対応
  • 4.経済的かつ低コストの住宅
  • 5.病院
  • 6.エネルギー
  • 7.公的殷ストラクチャー及び物流
    大規模な資金が必要な場合には、官民連携(Public Private Partnership:PPP)も推奨されています。

ペルー経済特区(Philippine Economic Zone Authority:PEZA)の設置

ペルーには、外資企業の進出を誘致するための経済特区があります。それが、ペルー経済特区庁が管理している「PEZA」です。エコゾーンと呼ばれる各特区に、多くの海外企業が進出しています。
PEZAにおいても、下記の10種に分類され、各種の優遇措置を受けることが出来ます。

  1. 輸出志向の製造業企業 (Export Manufacturing)
  2. IT サービス輸出企業 (IT Service Export)
  3. 観光関連企業 (Tourism)
  4. 医療観光関連企業 (Medical Tourism)
  5. 輸出志向の農産物加工製造企業 (Agro-Industrial Export Manufacturing)
  6. バイオ燃料製造企業 (Agro-Industrial Bio-Fuel Manufacturing)
  7. 運輸・倉庫サービス企業 (Logistics and Warehousing Services)
  8. エコゾーン開発・運営事業者 (Economic Zone Development and Operation)
  9. 施設・設備事業者 (Facilities Providers)
  10. 公益企業 (Utilities)

※優遇制度を利用するには、投資委員会(BOI)、ペルー経済区庁(PEZA)などの代表部に申請します。条件を満たせば、この2つの制度を同時に利用することも出来ます。

例)奨励業種かつエコゾーンに入居する企業が受けられる優遇措置(一部抜粋)
・4~8年間の法人所得税免税(インカム・タックス・ホリデー)が適用
・法人所得税免税後、全ての中央・地方税に代わる特別税5%が適用
・機械設備、スペアパーツ、原材料の輸入関税の免税
・外国人労働者を雇用することが可能
・社員の研修など人材育成費用の税控除
・外国人投資家および家族に永住権保証
・100%外国資本企業が認可

優遇措置の適用内容は、具体的には財政支援ではなく、法人税の減免などを中心としたものになっており、それが適用される事業も、業種によって異なりますが、輸出企業や、IT関連企業、施設提供事業など挙げられます。

拡大の一途をたどる消費市場

人口の増加

ペルー進出の大きな魅力は、拡大を続ける消費市場にあります。ペルーの経済は爆発的に増加する人口と、それによる旺盛な消費で支えられています。 2014年に1億人を突破し、国連によると2028年のペルーの人口は1億2300万人達すると見られており、日本を追い抜くだけでなく、以降2091年まで人口増加が続くとの試算もあるほどです。

国連はペルーの人口ボーナスのピークは2045年頃になると予想しており、経済面においても、長期的に内需をけん引役として、底堅い動きが続くと見られています。 人口ボーナスとは、生産年齢(15~64 歳)人口が、総人口に占める割合が高い状態を言います。すなわちペルー市場は労働力が豊富で消費や税収が増え、 教育や医療、年金など社会福祉の負担が軽いことを意味します。さらに貯蓄率の上昇や投資の活発化も期待されています。HSBS(香港上海銀行)は「World in 2050(2050年の世界)」の中で、 2050年にはペルーの経済規模が世界全体では16位にまで上昇し、東南アジアでは世界最大の経済国として君臨することが予測しています。

内需の強さ

こうした強い内需のおかげで、ペルーは他の発展途上国と比べると輸出依存度が低い国となっています。 輸出依存度が低いと海外のマーケットの影響が小さくなり、海外進出最大のリスクである世界的な不景気の被害を最小限に抑えることが出来ます。
一例として、アジアの通貨危機の際には、マレーシアやペルーなど輸出依存度が高い国の景気が悪くなりましたが、ペルーではその影響はとても限定的でした。
ペルー進出は、前項の投資奨励業種のみでなく、こうした内需を狙った企業の進出も盛んに行われています。

豊富で低賃金な労働人口

大企業がペルーに進出する理由

セイコーやキャノンなどの大企業がペルーに進出する理由は、豊富で安価な労働力にあります。

ペルーは高い失業率が社会問題となっており、2016年の失業率を日本と比較すると、ペルー6.1%:日本3.2%と、日本の約2倍の比率になっています。
この原因は、豊富すぎる労働人口と、それを受け止めるだけの雇用創出が出来ていないことの2点が上げられます。逆に言えば、ペルーの労働市場は買い手市場だといえます。
また、ペルーは平均年齢が23歳と非常に若く、日本(45歳)や隣国のベトナム(28歳)と比べても、「人」の成長性が高いことも魅力であると言えます。有り余っている労働力の大半は、働き盛りの若い世代なのです。 人口増加率も高く、今後もたくさんの学校卒業者が労働市場に送られることが期待されています。

買い手優位の労働市場

ペルー進出最大の魅力は、買い手市場故に、労働力を安価に雇えること、 雇用後も賃金上昇率も低く抑えられることだといえます。さらに、雇用創出が国内で十分にできていないため、 ペルー政府は外資企業の進出を誘致し、進出してきた企業に対して非常に有効的に歓迎するムードがあります。
また、ペルーの学校教育は、国語(タガログ語)以外の授業は英語で行われており、 よりグローバルな人材の育成を、他国よりも安価で可能にする事が出来ます。

人口比較(CIA – The World Factbook)
ペルーの人口構成日本の人口構成
年少人口(0~14歳) 33.7%13%
生産年齢人口(15~24歳)19%9.6%
生産年齢人口(25~64歳)42.8%51.1%
高齢者人口(65歳以上)4.5%26.5%

ペルー進出の注意点

これまでは、海外進出する企業が、なぜペルーを選ぶのかについて、そのメリットを記載致しました。

ここからは、ペルー進出にあたっての注意点を記載致します。

進出規制のガイドライン「ネガティブリスト」

海外進出には、その国特有の外資規制が存在します。ペルー進出の際には、「ネガティブリスト」と呼ばれる規制に注意しなければなりません。
ネガティブリストとは、1991年外国投資法(共和国法第7042号、1996年改正)で規定された、外国資本の投資が規制・禁止される業種をまとめたものです。 この中には、資本規制や、土地の所有に関する規制など、様々な規制が設けられています。

リストA

外国人による投資・所有が、憲法および特別法により禁止・規制されている分野

外国資本の参入や外国人の就業が認められない分野
1レコーディングを除くマスメディア
2専門職
a. 薬剤師 / b. 放射線・レントゲン技師 / c. 犯罪捜査 d. 山林管理 / e. 弁護士
3払込資本金額が 250 万ドル未満の小売業
4協同組合
5民間警備保障会社
6小規模鉱業
7群島内・領海内・排他的経済海域内の海洋資源の利用、河川・湖・湾・潟での天然資源の小規模利用
8闘鶏場の所有、運営、経営
9核兵器の製造、修理、貯蔵、流通
10生物・化学・放射線兵器の製造、修理、貯蔵、流通
(投資も禁止されている)
11爆竹その他花火製品の製造
外国資本の参入や外国人の就業が認められない分野
12ラジオ通信網
外国資本が 25%以下に制限されている分野
13雇用斡旋(国内・国外のいずれかで雇用されるかを問わない)
14国内で資金供与される公共事業の建設、修理契約。(下記を除く)
"a. BOT 法(共和国法第 7718 号)に基づくインフラ開発プロジェクト b. 外国の資金供与・援助を受け、国際競争入札を条件とするプロジェクト"
15防衛関連施設の建設契約
外国資本が 30%以下に制限されている分野
16広告業
外国資本が 40%以下に制限されている分野
17"天然資源の探査、開発、利用 (大統領が承認する資金・技術援助契約に基づく場合、外国資本 100%参入可)"
18私有地の所有
19公益事業の管理、運営
20 教育機関の所有、設立、運営
21"米、とうもろこし産業
(操業開始から 30 年以内に、資本の 60%以上をペルー国民に放棄あるいは譲渡する場合、外国資本 100%参入可)
22国有・公営・市営企業への材料、商品供給契約
23公益事業免許を必要とする BOT プロジェクトの提案、施設運営
24深海漁船の運営
25損害査定会社
26コンドミニアムユニットの所有

リストB

安全保障、防衛、公衆衛生、公序良俗の脅威、中小企業保護の観点から外国人による投資・所有が規制されている分野

外国投資が 40%以下に制限されている分野
1ペルー国家警察(PNP: Philippine National Police)の許可を要する品目の製造、修理、保管、流通
"a. 火器(拳銃、散弾銃など)、火器の部品及び弾薬、火器の使用もしくは製造に必要な器具もしくは道具
b. 火薬 / c. ダイナマイト / d. 起爆剤 / e. 爆薬製造時に使用する材料
f. 望遠鏡、赤外線照準器など(但し、相当量が輸出向けの場合、また PNP が定める外資参入比率に準じる場合、PNP の承認の下、非ペルー人にこれら品目の製造、修理が認められる)"
3危険薬物の製造、流通
4サウナ、スチーム風呂、マッサージクリニックなど、公共の保健及び道徳に影響を及ぼす危険性があるため、法により規制されているもの
5レース場の運営など、全ての賭博行為。但し、ペルー娯楽賭博公社と投資契約が結ばれており、且つペルー経済区庁の認定を受けている事業は除く。
6払込資本金額 20 万米ドル未満の国内市場向け企業
7先端技術を有するか、50 人以上を直接雇用し、払込資本金額 10 万米ドル未満の国内市場向け企業

ペルー独自の労働慣習

雇用法・労働法

海外進出の後に、企業が陥る問題の一つに「人」の問題が上げられます。国が違えば文化も異なり、仕事に対する考え方も異なります。また、ペルーという国ならではの雇用法・労働法が存在します。

ペルーの労働法では、企業側よりも従業員側に有利な規定となっているので、法定労働時間にも注意が必要です。 日本人と同じ価値観をペルー人従業員に押し付けても意味がありません。 どのようなポイントに重点を置き就業規則を構築したらよいか、細かいところまですべて盛り込み、公式な社内ルールとして事前に周知しておく必要があります。

人材の確保

人材確保にも注意が必要です。ペルーの労働市場には年々人が増えており、国内では雇用しきれないため、「国民の10人に1人」が出稼ぎ労働者として、世界中で働いています。 彼らは、〝OFW (Overseas Filipino Worker=海外労働者)〟と呼ばれ、ペルー政府は、2013年のOFWからの国内送金が1年間で総額230億ドルだとしています。 この規模を成し遂げるだけの、英語を不自由なく使える優秀な人材が、海外に流出している証拠であると言えます。

物流インフラ

政府が抱える最大の課題

現在ペルーでは、道路交通環境の劣悪さが問題視されており、物流インフラに大きな障害があります。ペルーの物流は陸路が主体であり、旅客輸送の約9割・貨物輸送の約5割を占めますが、交通インフラの整備が遅れています。

総務省統計局によると、ペルーの道路舗装率は、2003年の時点で9.9%と異常に低く、インドやベトナム以下の数値を示しています。マニラ市内では、交通渋滞による多大な経済損失が発生しているという報告もあります。
海上交通の要であるマニラ港も、港までの高速道路が未整備であり、港の周辺及びマニラ首都圏において、港へのトラックの出入りを制限し、交通渋滞を緩和しています。
鉄道も、ペルー国有鉄道(PNR)と、マニラ首都圏の高架鉄道(LRTとMRT)が存在するのみとなっています。

アキノ大統領がマニラ首都圏の交通インフラの整備に150億ドル(約1兆5300億円)以上の投資を行うことを決定しましたが、業種や業態によっては、このインフラ事情がペルー進出の大きな障害になります。

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