タイ進出支援

タイ進出

タイの進出のメリット

タイは、幾度とない困難な状況に直面しつつも、20世紀後半から 21世紀にかけて長期にわたり経済成長を遂げてきた国です。
1997 年にタイを震源としたアジア通貨危機のために、1998年のGDP成 長率はマイナス10%にまで落ち込みましたが、翌1999年には4.4% に持ち直しています。 2006年以降の政情不安定な時期においても、 年率数パーセントの成長率を維持してきました。 また、2009年には 世界金融危機の影響を受けて2.3%のマイナス成長となりましたが、 翌年には7.8%とV字回復を果たしています。2011年はチャオプラヤ川の大洪水により成長率は0.1%、すなわちほぼゼロ成長でした。しかし、翌年には復調を果たします。主要産業である自動車産業は、2012年3月に生産台数の過去最高を記録し、その後も好調を維持しました。

進出企業の誘致政策

このような、自国の経済発展に寄与する外資企業の進出を誘致するため、以下のような優遇措置を策定しています。

投資奨励事業分野の制定

投資症例法により、タイ政府の投資委員会(BOI)から様々な恩典(税制面およ び非税制面)を享受することが出来ます。

    2016年11月時点で投資奨励の対象となる業種は7類117種で す。対象業種と業種数については以下のとおりです。
  • 1類.農業および農作物
    業種数:22種
  • 2類.鉱業、セラミック、基礎金属
    業種数:17種
  • 3類.軽工業
         業種数:11種
  • 4類.金属製品、機械、運輸機器
    業種数:15種
  • 5類.電子・電気機械産業
    業種数:9種
  • 6類.化学、紙、プラスチック
    業種数:17種
  • 7類.サービス及び公共施設
    業種数:26種

タイ国工業団地公社(IEAT)

タイ国工業団地公社(IEAT)は、工業団地の開発に責任を持ち、工 業団地の運営を行うことでタイ全国に工業の発展を広める目的で設立 された工業省管轄機関です。 タイ国工業団地公社法に基づいて運営されている工業団地内への投 資に限り、奨励政策を実施しています。
工業団地のエリアは、一般工業区(GIZ:General Industrial Zone)とフリーゾーン(IEAT Free Zone)の2種類に分けられます。
IEATによる奨励を受けるための要件は下記の通りです。

  1. 共通の要件
  2. ・タイ工業団地における産業、工業、技術等の発展に貢献すること
    ・工業団地内の環境に悪影響を及ぼさないこと

  3. 個別の要件
  4. 一般工業区
    追加的要件はなし

    フリーゾーン
    ・土地の占有権、所有権を有していること
    ・設立者の承諾を受けていること
    ・タイに利益をもたらす工業、商業活動
    ・税法に基づく重大な過失がないこと

※IEATの管轄する工業団地に進出すると、BOIによる認可取得の有 無に関係なく、進出企業はIEATからの恩典を享受できます。また、 一般工業区とフリーゾーンの両方に認められる恩典のほか、各工業区 にそれぞれ異なる恩典があります。

フリーゾーンにある事業者にはIEATより権利、恩典を与えられ、関税、付加価値税、および物品税などの免税措置を受けることが認められています。

IEAT工業団地進出時に留意する点
IEATの申請を行う企業は、BOIへの投資奨励申請も併せて行うのが 一般的です。BOIの認可を受けると、外国人事業法による出資比率の制 限が免除されることや、当該工業団地に進出する企業が同時にBOIによ る奨励業種にも適合している業種の場合、より多くの恩典を享受できる などのメリットがあることから、進出申請を行うと同時に、BOIにも投 資奨励申請をするほうが望ましいです。

内需の強さ

こうした強い内需のおかげで、タイは他の発展途上国と比べると輸出依存度が低い国となっています。 輸出依存度が低いと海外のマーケットの影響が小さくなり、海外進出最大のリスクである世界的な不景気の被害を最小限に抑えることが出来ます。
一例として、アジアの通貨危機の際には、マレーシアやシンガポールなど輸出依存度が高い国の景気が悪くなりましたが、タイではその影響はとても限定的でした。
タイ進出は、前項の投資奨励業種のみでなく、こうした内需を狙った企業の進出も盛んに行われています。

豊富で低賃金な労働人口

大企業がタイに進出する理由

セイコーやキャノンなどの大企業がタイに進出する理由は、豊富で安価な労働力にあります。

タイは高い失業率が社会問題となっており、2016年の失業率を日本と比較すると、タイ6.1%:日本3.2%と、日本の約2倍の比率になっています。
この原因は、豊富すぎる労働人口と、それを受け止めるだけの雇用創出が出来ていないことの2点が上げられます。逆に言えば、タイの労働市場は買い手市場だといえます。
また、タイは平均年齢が23歳と非常に若く、日本(45歳)や隣国のベトナム(28歳)と比べても、「人」の成長性が高いことも魅力であると言えます。有り余っている労働力の大半は、働き盛りの若い世代なのです。 人口増加率も高く、今後もたくさんの学校卒業者が労働市場に送られることが期待されています。

買い手優位の労働市場

タイ進出最大の魅力は、買い手市場故に、労働力を安価に雇えること、 雇用後も賃金上昇率も低く抑えられることだといえます。さらに、雇用創出が国内で十分にできていないため、 タイ政府は外資企業の進出を誘致し、進出してきた企業に対して非常に有効的に歓迎するムードがあります。
また、タイの学校教育は、国語(タガログ語)以外の授業は英語で行われており、 よりグローバルな人材の育成を、他国よりも安価で可能にする事が出来ます。

人口比較(CIA ? The World Factbook)
タイの人口構成日本の人口構成
年少人口(0〜14歳) 33.7%13%
生産年齢人口(15〜24歳)19%9.6%
生産年齢人口(25〜64歳)42.8%51.1%
高齢者人口(65歳以上)4.5%26.5%

タイ進出の注意点

これまでは、海外進出する企業が、なぜタイを選ぶのかについて、そのメリットを記載致しました。

ここからは、タイ進出にあたっての注意点を記載致します。

進出規制のガイドライン「ネガティブリスト」

海外進出には、その国特有の外資規制が存在します。タイ進出の際には、「ネガティブリスト」と呼ばれる規制に注意しなければなりません。
ネガティブリストとは、1991年外国投資法(共和国法第7042号、1996年改正)で規定された、外国資本の投資が規制・禁止される業種をまとめたものです。 この中には、資本規制や、土地の所有に関する規制など、様々な規制が設けられています。

リストA

外国人による投資・所有が、憲法および特別法により禁止・規制されている分野

外国資本の参入や外国人の就業が認められない分野
1レコーディングを除くマスメディア
2専門職
a. 薬剤師 / b. 放射線・レントゲン技師 / c. 犯罪捜査 d. 山林管理 / e. 弁護士
3払込資本金額が 250 万ドル未満の小売業
4協同組合
5民間警備保障会社
6小規模鉱業
7群島内・領海内・排他的経済海域内の海洋資源の利用、河川・湖・湾・潟での天然資源の小規模利用
8闘鶏場の所有、運営、経営
9核兵器の製造、修理、貯蔵、流通
10生物・化学・放射線兵器の製造、修理、貯蔵、流通
(投資も禁止されている)
11爆竹その他花火製品の製造
外国資本の参入や外国人の就業が認められない分野
12ラジオ通信網
外国資本が 25%以下に制限されている分野
13雇用斡旋(国内・国外のいずれかで雇用されるかを問わない)
14国内で資金供与される公共事業の建設、修理契約。(下記を除く)
"a. BOT 法(共和国法第 7718 号)に基づくインフラ開発プロジェクト b. 外国の資金供与・援助を受け、国際競争入札を条件とするプロジェクト"
15防衛関連施設の建設契約
外国資本が 30%以下に制限されている分野
16広告業
外国資本が 40%以下に制限されている分野
17"天然資源の探査、開発、利用 (大統領が承認する資金・技術援助契約に基づく場合、外国資本 100%参入可)"
18私有地の所有
19公益事業の管理、運営
20 教育機関の所有、設立、運営
21"米、とうもろこし産業
(操業開始から 30 年以内に、資本の 60%以上をタイ国民に放棄あるいは譲渡する場合、外国資本 100%参入可)
22国有・公営・市営企業への材料、商品供給契約
23公益事業免許を必要とする BOT プロジェクトの提案、施設運営
24深海漁船の運営
25損害査定会社
26コンドミニアムユニットの所有

リストB

安全保障、防衛、公衆衛生、公序良俗の脅威、中小企業保護の観点から外国人による投資・所有が規制されている分野

外国投資が 40%以下に制限されている分野
1タイ国家警察(PNP: Philippine National Police)の許可を要する品目の製造、修理、保管、流通
"a. 火器(拳銃、散弾銃など)、火器の部品及び弾薬、火器の使用もしくは製造に必要な器具もしくは道具
b. 火薬 / c. ダイナマイト / d. 起爆剤 / e. 爆薬製造時に使用する材料
f. 望遠鏡、赤外線照準器など(但し、相当量が輸出向けの場合、また PNP が定める外資参入比率に準じる場合、PNP の承認の下、非タイ人にこれら品目の製造、修理が認められる)"
3危険薬物の製造、流通
4サウナ、スチーム風呂、マッサージクリニックなど、公共の保健及び道徳に影響を及ぼす危険性があるため、法により規制されているもの
5レース場の運営など、全ての賭博行為。但し、タイ娯楽賭博公社と投資契約が結ばれており、且つタイ経済区庁の認定を受けている事業は除く。
6払込資本金額 20 万米ドル未満の国内市場向け企業
7先端技術を有するか、50 人以上を直接雇用し、払込資本金額 10 万米ドル未満の国内市場向け企業

タイ独自の労働慣習

雇用法・労働法

海外進出の後に、企業が陥る問題の一つに「人」の問題が上げられます。国が違えば文化も異なり、仕事に対する考え方も異なります。また、タイという国ならではの雇用法・労働法が存在します。

タイの労働法では、企業側よりも従業員側に有利な規定となっているので、法定労働時間にも注意が必要です。 日本人と同じ価値観をタイ人従業員に押し付けても意味がありません。 どのようなポイントに重点を置き就業規則を構築したらよいか、細かいところまですべて盛り込み、公式な社内ルールとして事前に周知しておく必要があります。

人材の確保

人材確保にも注意が必要です。タイの労働市場には年々人が増えており、国内では雇用しきれないため、「国民の10人に1人」が出稼ぎ労働者として、世界中で働いています。 彼らは、?OFW (Overseas Filipino Worker=海外労働者)?と呼ばれ、タイ政府は、2013年のOFWからの国内送金が1年間で総額230億ドルだとしています。 この規模を成し遂げるだけの、英語を不自由なく使える優秀な人材が、海外に流出している証拠であると言えます。

物流インフラ

政府が抱える最大の課題

現在タイでは、道路交通環境の劣悪さが問題視されており、物流インフラに大きな障害があります。タイの物流は陸路が主体であり、旅客輸送の約9割・貨物輸送の約5割を占めますが、交通インフラの整備が遅れています。

総務省統計局によると、タイの道路舗装率は、2003年の時点で9.9%と異常に低く、インドやベトナム以下の数値を示しています。マニラ市内では、交通渋滞による多大な経済損失が発生しているという報告もあります。
海上交通の要であるマニラ港も、港までの高速道路が未整備であり、港の周辺及びマニラ首都圏において、港へのトラックの出入りを制限し、交通渋滞を緩和しています。
鉄道も、タイ国有鉄道(PNR)と、マニラ首都圏の高架鉄道(LRTとMRT)が存在するのみとなっています。

アキノ大統領がマニラ首都圏の交通インフラの整備に150億ドル(約1兆5300億円)以上の投資を行うことを決定しましたが、業種や業態によっては、このインフラ事情がタイ進出の大きな障害になります。

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