コロンビア進出支援

税務・税法

目次

1.コロンビアの税務 ■コロンビア税法の概要/■課税対象
2.コロンビアの国税 ■所得税と公平税/■付加価値税と消費税
3.コロンビアの地方税 ■工業商業税/■登録税/■固定資産税

1.コロンビアの税務

■コロンビア税法(Estatuto Tributario)の概要
コロンビアの税法は、大きく国税と地方税に分類されます。国税はコロンビアのすべての国土で一律の税率が適用されます。対して地方税は、州や自治体によって定められており、種類や税率などで違いがあります。 主な税金の種類は以下の通りです。

直接税間接税
国税・所得税・公平税(CREE)・富裕税・付加価値税(VAT)・消費税
地方税・工業商業税(ICA)・登録税・固定資産税

■課税対象
コロンビアの国税は、納税者の純資産の増加をもたらす活動の結果得られた、現金や資産に対して課税されます。課税対象はコロンビア国内の企業および個人とされ、その利益の発生場所が国内外問わず課税対象となります。
コロンビア国内の企業とみなされる要件は、以下の3つとなります。
・コロンビアで設立(登記)された会社
・営業活動の主な市場がコロンビアである
・コロンビア国内に統轄、管理拠点がある

2. コロンビアの国税

■所得税と公平税
コロンビアの所得税は、法人所得税と個人所得税の2つに分けており、それぞれ特徴が異なります。

・法人所得税(Impuesto sobre la Renta y Complementarios)
コロンビアの法人所得税は、2012年末の税制改革により、2013年以降は一律で25%と定められています(税法第240条、2006年法律第1111号第12条、2012年法律第1607号第94条)。課税所得には、営業活動による利益に加えて、配当金や、利息、キャピタルゲインを含みます。
ただし、保税区(ZF: free trade zone)で設立された会社は、一律で10%の減税という優遇措置が受けられます。またキャピタルゲインへの税率は一律10%と定められています。

コロンビアの法人所得税は上記の一般税率25%に加えて、公平税(CREE: Impuesto sobre la Renta para la Equidad)が課されます(2012年法律第1607号第2章)。
導入された2013年は税率8%でしたが、2014年12月の税制改正により、税率が9%に固定されました。時限措置として、2015年~2018年の課税所得額が8億ペソを超える法人に対しては、8億ペソを上回った額に一定税率の徴税が行われます。

時限措置の税率(2014年12月法律第1739号)
2015年:5% 2016年:6% 2017年:8% 2018年:9%

コロンビアの法人所得税では、恒久的施設(PE:permanent establishment)を所持しない外資企業は、特別税率が適用されるとしています。税率は法律によって年度ごとに以下のように予定されています。
2015年   :39%
2016年   :40%
2017年   :42%
2018年   :43%
2019年以降:33%
・個人所得税(Impuesto sobre la Renta y Complementarios)
コロンビアの個人所得税は、課税基準単位(UVT: Unidad de Valor Tributario)という単位を基準に累進課税方式で課税されます。 UVTとは、税法868条(2006年12月27日法律第1111号第50条により改正)により、国家統計局が毎年末に発表する「単位」としての制度です。消費者物価指数の変動に基づき調整されており、UVTに換算した課税所得額によって適用される税率が異なります。
【コロンビアの累進課税率】税法第241条、2006年法律第1111号第12条
所得水準計算式
~1,090UVT非課税
1,090UVT~1,699UVT(課税所得又は臨時利益-1,090UVT)×19%
1,700UVT~4,099UVT(課税所得又は臨時利益-1,700UVT)×28%+116UVT
4,100UVT~(課税所得又は臨時利益-4,100UVT)×33%+788UVT

コロンビア国内の給与所得者に対しては、源泉徴収制度が適用されます(税法第383条により)。計算方法は、社会保障制度(医療、年金など)への支払を除いた平均月収を、UVTに換算し求められます(2012年法律第1607号第14条)。

所得水準計算式
~128.96UVT非課税
1,136.92UVT~課税所得×27%ー135.17UVT

2013年4月からコロンビアの累進課税は、累進課税(IMAN : Impuesto Mínimo Alternativo Nacional)という制度を導入しています。IMANとは、社会保障制度への支払いを除いた年収が、1,548UVT以上の被雇用者を対象にした課税制度です。また、2014年12月の税制改正により、年収2,800UVT未満の被雇用者は、簡易累進課税(IMAS : Impuesto Minimo Alternativo Simple)でも申告可能となっています(2014年12月法律第1739号第33条)。

■付加価値税と消費税
コロンビアの国税の間接税は付加価値税のみでしたが、2012年の法改正により、消費税が導入されました(税法第512条、2012年法律第1607号第71~83条)。このため財・サービスを購入する際に、原則VATと消費税の2種類の間接税が課されることになります。

○付加価値税
コロンビアの付加価値税(VAT: value added tax)は、コロンビア国内で行われる取引に対して一定の税率で課税されます。
課税対象は、主に以下の取引です。
・コロンビア国内での有形固定資産(机やPCなど)の売却
・コロンビア国内でのサービスの提供
・コロンビアの税関を通る財
・宝くじを除く、くじやエントリーパスの販売、運営

海外で実施されたとしても、コロンビア国内での活動とみなされれば課税対象となります。
国内の活動とみなされるものは、以下の通りです(一部抜粋)。
・技術支援サービス
・コロンビアの無形財産の利用にかかるライセンスや許可の取得手続き支援
・保険
・衛星サービス
コロンビアのVATは、標準税率が16%と定められています。2012年の法改正により特別税率が用意され、0%~8%の税率が適用されるものもあります。また例外として「消費税の課税対象になるがVATは免除される」という項目もあります。
主な特別税率の対象品目は以下の通りです(一部抜粋)。

税率税目
0%
(非課税)
・エストラト(社会経済階層)1. 2. 3. の世帯のインターネット接続サービス
・生活最低必需食料(トマト、ジャガイモ、人参、タマネギ、パン等)
・牛(闘牛を除く)、豚、羊等生きた動物類
5%・工業用食品(小麦等の粉類、砂糖、チョコレート、パスタ、パン、ケーキ、クラッカーなど)
・工業製品(農具、農業機械、綿繊維(同第33条)など)
・医療サービス(プリペイド医療サービス、手術・入院保険証券(同第34条))
・コーヒー(焙煎済、カフェイン抜き、コーヒー豆の果皮)
8%・ファミリーカー(FOB又はFOB相当3万ドル未満)、ジープ(ともにHSコード8703)
・ピックアップトラック(同8704)
・オートバイ(排気量250cc超(同8711))
・船舶(娯楽、スポーツ用(同8903))
○消費税(Impuesto Nacional al Consumo)
コロンビアの消費税の課税対象は、車両・通信・飲食料の3分野となっています。
例外として消費税が免除されるは、以下の通りです(一部抜粋)。
・一部食料品(野菜や果物などの農産物、塩、シリアルなど)
・一部業種が仕入れる食料品(フランチャイズの教育機関やフードバンクなど)
・条約や国際協定に基づいた政府関係者による購入
・エネルギー(精製用原油、天然ガス、ガソリンなど)
・重機械、部品(コロンビア国内で製造されている品目は除く)

3.コロンビアの地方税

■工業・商業税(Impuesto de Industria y Comercio)
工業・商業税(ICA:Industry and Commerce Tax)とは、登記した地方自治体の管轄区域内における市税とされています。
課税対象は、個人・法人及び非法人が実施する産業、貿易及び奉仕活動から得られる総収入とされています。
税率は各市町村によって定められていますが、法律によって以下の範囲で定められています。
•工業活動        :0.2%~0.7%。
•商業活動及びサービス活動:0.2%から1%。
地方自治体によっては、税率が規制法制定前に設定されているため、上記の限度を超える金利があるところもあります。ICAは、納税者の所得源泉が証明されることを条件として、100%の控除が可能です。

■登録税
コロンビアの登録税は、商工会議所や公文書登記所(Oficinas de Instrumentos Publicos)に対して行う法に基づいた行為、契約、商取引、書類の登記手続き、商業登録等に課税されます。課税対象は文書に含まれる価格ですが、手続き内容によって税率が異なります。

○貨幣価値を伴う手続きの場合(一部抜粋)
・公文書登記所に登録される特定の行為又は契約:0.5%~1%
・商工会議所に登録される特定の行為又は契約 :0.3%~0.7%

例:会社設立、細則の改正、企業資本や加入資本の増加を伴う行為 など

なお書類に記載される額面に関して、不動産に関する契約または法的業務の場合は、地籍査定、自己査定、オークションまたは授与価格の額を下回ってはならないとされています。
○貨幣価値を伴わない手続きの場合(一部抜粋)
・商工会議所に登録される前の契約又は法務:0.1~0.3%
・公的証書登録所や商工会議所に登録される行為又は契約において、書面に具体的な金額が記載されていない場合:1日当たりの法定最低賃金の2倍~4倍

例:商工会議所に登録前の、会社設立にかかる株式発行、増資など

なお例外として、会社の合併・分割や、会社形態の変更、外資企業の支店の連結に関する登録税の見積もりや支払いについては、資本の増強や割り当ての増加を伴わない、貨幣価値のない行為とみなされます。

■固定資産税(Impuesto Predial)
コロンビアの固定資産税は、建設物の有無にかかわらず、土地などの不動産の所有・利用に対して課税されます。納税者は、土地の所有者や管理者、そして土地の貸出などで利益をあげる者とされています。
税率は当該資産がある自治体が、不動産価格に基づき0.3~3.3%程度の範囲で決定します。この不動産価格の決定は、立地やフロアスペースなどの項目を経済的な時価評価をする不動産評価指数(IVIUR)による査定、もしくは納税者の自己査定によるものとされています。
固定資産税は、納税者の所得源泉が証明されると、100%の控除を受けることができる場合もあります。

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