コロンビア進出支援

コロンビアの地域統括

目次

1.コロンビア進出の規程 ■会社の設立・登記/■会社の形態
2.株主(株主総会) ■株主の権利/■少数株主の保護/■株主総会
3.取締役 ■取締役の選任・解任/■取締役の責任
4.監査人 ■監査人の設置義務/■監査人の要件
5.株式 ■配当の決定方法/■配当時の準備金の計上義務/■企業の自社株買い

1.コロンビア進出の規程

■会社の設立・登記
コロンビアに進出する企業が、恒常的な事業活動を行う場合、コロンビア国内に子会社又は支店を設立しなければなりません(商法第8編474条)。
恒常的な事業活動とは、以下6つの活動となります。
(1) コロンビア国内にPE(恒久的施設)の開設
(2) 事業遂行やサービス提供の契約者として活動
(3) 民間貯蓄を扱う活動
(4) 採鉱業に関する活動
(5) 国家ビジネスに参加する場合
(6) 株式保有、株主総会、理事会、経営会議の地域機能
コロンビアでの会社設立は、株主やパートナーによる一種の契約行為とされています。会社設立の手続きは、中央銀行での外資登録や、公証役場での資本金払込証明および定款の承認などの各種手続きを行い、公証人によって会社設立契約を内容とする公正証書を作成し、公証人立ち会いの下で株主等が公正証書に署名することによって設立されます。
その後に、商業会議所への工業・商業登録、労災管理会社の安全証明書の取得、操業に係る基本的条件の市役所または計画局からの承認、衛生局による衛生登録などを行った後に操業されます。

■会社の形態
コロンビアの会社法では、設立される会社法人の形態が定められており、法人は、資本金額、共同経営者数、組織構成等が法律にてそれぞれの形態別に定義されます。
コロンビアの会社の形態は、以下の8つがあります。

(1) 合名会社 (S.C : Sociedad Colectiva)
設立には2人以上の経営者が必要となります(上限はありません)。資本については経営者それぞれが異なる額の出資を行うことができ、各経営者は出資額にかかわらず、役員会の議決権を有します。法的代表権は、組合や第三者に委託する場合を除き、すべての経営者が有します。
(2) 合資会社 (S.en C./S.C.A : Sociedad en Comandita Por Acciones o Simple)
単純合資会社と株式合資会社の2種類に分かれます。 単純合資会社は、コロンビアでは主に家族経営の企業に利用されています。設立には、経営者と出資者が最低1人ずつ必要となります。
株式合資会社は、設立には最低1人の経営者と5人の株主が必要です。資本は認可された資本に相当する株式により構成され、それらは設立時に記名される株式数(記名資本)と、後に発行されるために金融資産として残っている株式(無記名資本)に該当します。
(3) 株式会社 (S.A : Sociedad Anónima)
株式会社が設立され、機能するためには、最低5人の株主が必要です。会社設立時に授権資本(定款に定める発行可能株式)の50%以上の株を発行、引受資本金の3分の1以上の払い込みが必要となります。株主の責任は、出資額に限定され、いかなる株主も会社の資本金に相当する株式全体の94.99%を超える株式を所有することは認められていません。
(4) 有限会社 (Ltda : Sociedad de Responsabilidad Limitada)
設立には2人から25人の株主が、設立時または増資時に資本金100%の払い込みが必要となります。株主の責任は、税と労務債務を除き、その出資額に限定されます。資本は同等に割り当てられ、それぞれ議決権を有します。
(5) 匿名組合 (Sociedad de hecho)
商業活動を行い、利益を分配する目的で、2人以上が資金あるいは労働やその他の財を出資することで合意し設立される会社です。この形態は、公的書類による会社設立は行われず、法人格を有さないため、社名を持つことができず、また、商工会議所に会社登録することもできません。
(6) 単純型株式資本会社(S.A.S : Sociedad por Acciones Simplificada)
2008年に、外資の誘致を目的として新たに創設された設立形態です。1人もしくは複数の株主での設立が可能で、取締役会は義務付けられていません。出資額までの有限責任で商工会議所における商業登記が必要となります。
(7) 個人企業 (E.U : Empresa Unipersonal)
資産の一部を企業活動(単数または複数)のために出資する一自然人、あるいは一つの法人によって設立される会社です。この種の企業は商工会議所への登録、納税義務を除き、公的届出でなく私文書の登録で設立できます。
(8) 支店(Sucursal)
外国企業がコロンビアに進出する際に最も多く使用される形態です。設立するには法律に基づく設立書類(本社設立書、社内規約書、支店設立決議書、会社監督局あるいは金融監督局の開設許可書)の公証人役場への登記が必要となります。また、外国企業は商法第489条に基づき会計監査役(Revisor fiscal)を任命しなければなりません。

2.株主(株主総会)

■株主の権利
普通株式は商法第379条により制限、抑制、変化に関わりなく、株主の権利が認められます。一般的に、すべての株主は特定権利を付与する株式を持たない限り、同一な権利を持ちます。すべての株主の権利は、定款または法律により提供され、株主協定に盛り込まれます。
コロンビアの会社法では、財政事業のような場合を除き、最低資本金の要件が定められていません。しかし、資本金の払い込みについては、会社のタイプによっては、以下のような支払規則が定められています。
●株式会社を設立する場合、株主は授権資本の50%以上を引き受け、かつその3分の1以上を支払わなければなりません。残りの3分の2は1年以内に支払わなければなりません。(商法第110条5項および376条)
●有限責任会社の場合は、会社設立時に、全額を支払わなければなりません。(商法第354条)
■少数株主の保護
コロンビアの会社法には、少数株主の具体的な権利や、少数株主の保護のための規程や条文はありません。
しかし取締役を選ぶ株主総会については、商法第197条により保護されています。しかしこの条件として、大多数の議決権を持った大株主のような多数派が必要となります。
コロンビアで会社を設立するには、S.A.S (単純型株式資本会社)以外は、取締役の選任が必要となります。したがって、一般的に少数株主は他の株主と同じ権利と義務を負うこととなります。
■株主総会
株主総会は通常、年に最低1度、年度末から3カ月以内の条例が定めた日にされます。
決議事項は以下の通りです。
●会社の状況確認
●取締役とその他役員の任命
●会社の財政活動についての承認
●昨年度の貸借対照表と各科目の分析
●配当額の決定と、会社の目的成就に必要な措置の摘要

もし集会が招集されなかった場合、4月最初の営業日の午前10時に、会社の実行管理が行われている主な住所地において、集会を開かなければなりません。(商法第181条及び422条)

3.取締役

■取締役の選任・解任
コロンビアでは、Ltda (有限会社)・S.A.S(単純型株式資本会社)を除く全ての会社設立に際して、取締役を任命することが義務付けられています。(商法第110条)
株主総会では、取締役の選任または解任を要請することができます。(商法第187条420-4)会社の取締役を選出する時には、選挙指数システムが使用されます。選挙指数は有効な投票数の総計を、任命者数で割ることによって決められます。
投票検査は、得票数が最も多いリストから降順に、リスト化された票数の範囲内で、名前が選出されます。空席がなくなった場合には、残る投票数のうち、最も多い投票数を獲得しなければなりません。得票数が同数の場合、結果は抽選によって決定されます。選挙指数システムによる新しい選挙なしで選出された者は、部分的な選挙でこれを置き換えることはできません。置き換えを行うには、全員の同意があれば可能です。
■取締役の責任
コロンビアの会社法(商法23条222号)では、取締役を含めた、社長や清算人などマネージャーに分類される者すべてに以下の3つの信義を義務付けています。
・誠意(act in good faith)
・忠誠(act in loyalty)
・勤勉(act in diligence)

同法のもとでは、取締役は会社・株主又は第三者に対する過失又は意図的な違法行為により生じた損害について、共同して、そして個別にも責任を負います。また会社に損失が累積し、破産手続き等を行わなければならない場合にも、債権者の整理等を行う義務を負います。

4.監査人

■監査人の設置義務
コロンビアの監査人にはいくつかの種類があります。この中で特にTax Auditorは、コロンビア進出をした企業は、会社設立時に、監査人を任命することが義務付けられています。
例外として、Ltda (有限会社)とS.A.S(単純型株式資本会社)に設置義務はありません。しかし以下のいずれかの要件を満たした場合は、監査人(Tax Auditor)の設置が義務付けられています。
・法定最低賃金の5千倍相当の総資産額があると認められた場合(約158,964,000円)
・前年の収益が法定最低賃金の3千倍相当であると認められた場合(約95,430,400円)
■監査人の要件
株主総会で、法律と条令により監査人の選任または解任をします。(商法第204条)
監査人の雇用関係は、法律第50条の要件による雇用契約により定められます。監査人は会計士協会に登録されている公認会計士でなければなりません。また、5つ以上の株式会社で監査役に任命されている会計士を監査人として選任することはできません(商法第215条)。
また、下記の場合は監査人として選任することはできません。(商法第205、206、472条、法律第43条の50項、51項)
●同一会社の取締役、監査役、またはトップ会計士の4親等内の親族
●同一会社、または連携会社で役職を持っている者
●経済関連の緊密な関係を持つ者
●同一会社と子会社の従業員(退職後6カ月経過すれば可能)
●コロンビア永住権の無所有者
監査人として選任された者は、同一会社で他の地位を持つことは不可能です。

5.株式

■配当の決定方法
一般会計原則(GAAP基準)に従った財務諸表をもとに分配され、株主がこれを承認します。なお、コロンビアにおいては、中間配当は認められていません。(商法第451条)
■配当時の準備金の計上義務
企業純利益から法定準備金を差し引いた残りの純利益は条例、あるいは株式保有者の決定によって配当として割り当てられます。78%の株主が反対票を投じない限り、年間純利益の最低50%を配当として支払わなければなりません。(商法第155条および455条)
もしすべての準備金の合計が発行済み資本額を超える場合、年間純利益の70%を分配する必要があります。(商法第150条)
■企業の自社株買い
非上場企業が自社の株を買い戻すためには、議決権の過半数が集まった議会の承認が必要となります。すなわち、個別の交渉による自社株買いは出来ません。また自社株買いの資金は、会社の積み立てた純利益から得た資金を用い、かつ先に株主に対して全額振込を行わなければなりません。
一方、上場企業の場合、保証メカニズムによる株主の平等な条件を確保すれば、自社株買いを行うことができます(法律964 第42条)。

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