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M&Aスキームの基本 |トルコ進出コンサルティング

M&Aスキームの基本

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■公開買付
公開買付とは、ある会社の株式を買付価格、買付期間などを公告した上で不特定多数の株主から市場外で株式を買い集める制度で、公開会社の買収には日本でもよく利用されています。これを義務付けることにより、一部の株主に好条件で取引され、他の株主の利益が侵害されてしまうことを防ぐことが制度趣旨です。
公開買付は資本市場委員会の規制に準じて行われます。現金もしくは現金同等物で決済されます。資本株式は2年以上経過しなければ譲渡できません。
■相対取引
株式はトルコの国内外を問わず自由に売却できますが、トルコの法人または個人に売却される場合は、イスタンブール証券取引所(ISE)において、その100%が適正な市場価格で売買されなければなりません。その場合、資本市場評議会(SPK)および産業通産省の認証が必要となります。
株式譲渡の利点としては、純資産ベースでの買収価格のため、資本支出が少なくなること、売り手にとっては免税措置やキャッシュ・フローの観点からより魅力的であること、被買収会社による税金の性質を取得できること、現状の契約や権限を維持できることなどが挙げられます。
一方、懸念事項としては、潜在的、将来的な税金債務を取り込むことになること、のれんを認識できないことが挙げられます。
有限会社の持分譲渡は、出資者の4分の3以上の合意が必要です
(トルコ商法520条)。また、譲渡が有効とされるには、書面による契約を公正証書により記録する必要があります。法の定める形式を満たさない場合、当該譲渡は無効とされ、会社および株主に対する拘束力を生じません。
株式会社の株式譲渡は、株式が無記名式であるか、記名式であるかにより手続が異なります。
無記名式株式の場合、株券の交付のみで譲渡可能です。株券が発行されていない場合は、書面による契約が必要です。
記名式株式の場合、定款の定めに反しない限りで自由に譲渡可能です。トルコ商法416条に従い、記名式株式は裏書きや株券の交付により譲渡されます。ただし、当該譲渡が株主名簿に記載されるまでは、会社にとって有効とはなりません。また、会社は定款の規定を理由に、当該譲渡を拒否することが可能です。
定款において、「特に理由を述べず株式譲渡を拒否することができる」と定めておくことも可能です。株式譲渡が拒否された場合、株式取得者は完全な株主ではなく、株主名簿に記載されるまでは、議決権等の権利を行使することができません。また、双方の権利や債務の明確化、譲渡会社側の保証範囲を明記するため、株式譲渡契約書への同意が必要となります。
■事業譲渡による事業取得
事業の一部または全部を第三者に移転する場合には、トルコ債務法(Turkish Code of Obligation)202条が適用されます。事業にかかわる権利や債務は自動的に譲受会社に移転し、事業移転後2年間は譲渡会社と譲受会社双方で共同して責任を負います。譲渡会社は譲渡の日付を事業の債権者に通知し、なおかつ新聞で公告しなくてはなりません。
このように、トルコの法令上は日本における事業譲渡と異なり、権利義務が包括的に承継されてしまい、引受リスクが不明確となることから、クロスボーダー案件ではあまり利用されません。
■資産譲渡による事業取得
譲渡会社の債務を引き継がないためにも、資産のみを引き継ぐことがM&Aの条件下では解決策となる場合があります。資産の性質により、適用される法律が異なります。たとえば、不動産は民法に従い、土地登記所に申請する前に売却同意書を作成しなければなりません。商標権は特許局において新たな商標権として再度、決議され、提出される必要があります。
企業は資産の譲渡によって生じる納税義務と債務のリスクを回避する傾向にあります。トルコ債務法202条および203条では合併と買収の観点から資産および事業の譲渡について規定しています。ある法人が事業会社をその資産および負債とともに引き継ぐ場合、同法人の債権および債務に関する責任は同法人が負うものとされます。
202条によると、債権者への通知または公告から起算して2年間、譲受人および譲渡人は連帯して債務を保証する義務を負うものとみなされます。新聞や官報などを通じて譲渡が法的効力を生じた旨を公告します。
金融庁により発表される資産の耐用年数に応じて、のれんは5年間で償却されます。購入価格は適正な市場価値にて算出され、移転価格の要件に沿った文書を取引関係双方において作成します。
資産の取得は、本社がトルコ国内にない企業の支店や子会社を通じて行われるものについても課税対象となります。
資産譲渡による事業取得の利点としては、買収価格が税金に応じて減価償却されることや、再評価されること、売り手の債務を引き継がないこと、成功する可能性のある事業のみを買収できること、柔軟性があることなどが挙げられます。
一方、懸念事項は、既存の取引先との新しい契約や権限設定が必要となること、印紙税や登録税など取引に係る費用がより多くかかること、株式売却の免税措置が受けられないこと、売り手には税金損失が残ること、キャッシュ・フローに関して売り手には好ましくないことなどが考えられます。
■合併
合併についてはトルコ商法に規制があり(146条以下)、吸収合併(1社以上の会社が別会社に吸収される)と新設合併(1社以上の会社が合併して新会社を設立する)の2つの方法が定められています。なお、合併は同じ形態の会社同士(有限会社同士または株式会社同士)でのみ可能です。
合併においては、資産および債務が全体として合併後の会社に移転します。そして、合併による消滅会社は、商法が定める清算手続を経ることなく消滅します。また、消滅会社の株主は原則として、引続き合併後の会社の株主であり続け、消滅会社における株式保有比率に応じ、合併後の会社の株式が付与されます。

[吸収合併の流れ]

  • ①合併貸借対照表の作成
  • ②以下を確定するため、合併貸借対照表を裁判所に提出
    ・存続会社が引受ける純資産
    ・存続会社により増資される額
    ・存続会社株式の交換比率(存続会社により決定される)
  • ③合併契約の公証
  • ④当事会社の株主総会による合併の承認
  • ⑤合併を登録・公表するための商業登記申請
  • ⑥合併の登録・公表から3カ月間、債権者からの異議がなければ合併完了

[新設合併の流れ]

  • ①合併貸借対照表の作成
  • ②以下を確定するため、合併貸借対照表を裁判所に提出
    ・合併する当事会社の純資産
    ・新会社の資本金
  • ③合併契約の公証
  • ④新会社定款の公証
  • ⑤当事会社の株主総会による合併の承認
  • ⑥合併および新会社設立を登録・公表するための商業登記申請
  • ⑦合併の登録・公表から3カ月間、債権者からの異議がなければ合併完了
■その他
トルコ国内での活動により得た利益、配当または株式売却益の全部または一部を他の分野へ再投資することについての規制はありません。

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