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税務・税法

目次

1.タイにおける税務の概要 ■租税の体系 / ■タイの租税法
2.法人税 ■納税義務者 / ■課税所得の計算 / ■税額計算 ■標準税率 / ■申告方法 / ■中間申告
3.個人所得税 ■個人所得税の概要 / ■税率 / ■申告・納付手続き 
4.付加価値税 ■納税義務者 / ■課税地点と税額計算 / ■税率 ■納付手続き / ■タックスインボックス 
5.リンク リンク一覧

1.タイにおける税務の概要

■租税の体系

税金の体系については、大きく「国税」、「地方税」に分かれており、その中でさらに「直接税」と「間接税」に分かれています。

●国税と地方税

 
国税
タイの税金はほとんどが国税であり、財務省の内国歳入局が個人ならびに法人の所得税、付加価値税、特定事業税、印紙税を徴収しており、同省内の物品税局、関税局が、それぞれ物品税と輸出入関税を管轄しています。
地方税
地方税には、地方の土地局が管轄する土地家屋税、地方開発税および看板税がありますが、それらの歳入に占める割合は少なくなっています。

●直接税と間接税

 
直接税
直接税とは、税金を納める「納税義務者」と、税金を実際に負担する者が同じである税金をいいます。タイにおいては個人所得税、法人所得税などがこれに該当します。 
間接税
タイの租税法については、日本のように税目単位で本法、施行令、施行規則、通達といった体系は整っておらず、「内国歳入法」に国税の5税目が記載されており、それを補完するものとして勅令、省令、歳入国規則などが規定されています。

タイの租税法

タイの租税法については、日本のように税目単位で本法、施行令、施行規則、通達といった体系は整っておらず、「内国歳入法」に国税の5税目が記載されており、それを補完するものとして勅令、省令、歳入国規則などが規定されています。

 
●内国歳入法
個人所得税、法人所得税、付加価値税、特定事業税、印紙税の5税目について規定されており、タイ租税法の中でもメインとなる法律です。
勅令
内閣により発行され、歳入法が定める課税の免除や軽減を定めることを目的として発行されます。
●省令、省告示
法令の細かい部分や、緊急の免税措置などを定めるために発行されるものです。
●歳入局通達、歳入局告示
法令の解釈をめぐり、より実務的な個別の事例に対応しているものです。
●ルーリング
一部の照会については公開されており、実務上の指針として利用されています。ただし、あくまで個別事案としての事項ですので、これをもって全て同じ解釈を適用できるとは限りません。

2.法人税

納税義務者
タイにおける法人所得税の納税義務者は、タイ国内の法律により設立されたすべての法人ならびに組合(以下、「内国法人」という)、および外国の法律により設立された法人ならびに組合(以下、「外国法人」という)であり、タイ国内で事業を営むものとされています。この区分により、課税される所得の範囲が大きく異なってきます。

■タイにおけるPE(Permanent Establishment)課税
歳入法において、「外国法人が、タイ国内における事業において使用人、代理人 または仲介人を置きタイ国内で所得を得ている場合、その会社はタイで事業を営むものとされ、その使用人等がその所得に係る会社の代理人とされ、歳入法に規定する申告書の提出および納税の義務を負うことになります(歳入法第76条の2)。
通常、会社側としては認識が無い状態での課税となるため、もし納税者側で申告書の提出および課税所得の算定ができない場合には、みなし課税の規定を準用し、賦課決定されることになります。

■課税所得の計算
歳入法における課税所得とは、1会計期間に営まれた事業にかかるすべての益金からすべての損金を差し引いて算定されます。事業年度は原則12か月とされます(歳入法第65条)。また益金および損金は発生主義により算定されます。したがって当該事業年度に生じたすべての益金はその授受にかかわらず、損金はその支払の有無にかかわらず所得金額の算定に含めることになります。
所得については、その課税年度の益金の額から損金の額を控除した所得金額に対して、法人所得課税がされることとなります。

■税額計算
上記益金から損金を控除した課税所得に対し乗じる法人税率は、課税所得に対し30%となっています。(内国歳入法第67条)。しかし、中小企業および一部上場企業については軽減税率の適用があります。また日本における住民税・事業税に相当する所得税はありません。

■法人税率
30%
※2012年1月1日より、法人税率が段階的に引き下げられます。

23% ⇒2013年 1月 1日以降に開始する事業年度 20%
 -中小企業の軽減税率-
ここでいう中小企業とは、会計年度末における払込資本が500万バーツ以下の会社をいい、以下の軽減税率が適用されます。※2012年1月1日より法人税が段階的に引き下げられます。

(現行制度)
  課税所得のうち15万バーツ以下の部分   0%
  15万バーツ超100万バーツ以下の部分   15%
  100万バーツ超300万バーツ以下の部分   25%
  300万バーツ超の部分   30%
(2012年12月31日以降に終了する事業年度について)
  課税所得のうち15万バーツ以下の部分   0%
15万バーツ超100万バーツ以下の部分 15%
100万バーツ超の部分
23%
(2013年1月1日以降に開始する事業年度について)
  課税所得のうち15万バーツ以下の部分   0%
15万バーツ超100万バーツ以下の部分 15%
100万バーツ超の部分
20%

■申告方法
すべての会社は、事業年度の末日から150日以内に、当該事業年度にかかる法人税額を歳入局長の定めた様式を用いて所轄税務署に申告し、納税しなければなりません。
また、申告書には、監査済み財務諸表1セットを添付するとともに、所定フォームによる"経営者の宣誓書"を添付します。

■中間申告
会社は、事業年度の開始の日から6か月を経過する月の末日から2か月以内に、歳入局長が定める様式を用いて所轄税務署に提出し、納税をしなければなりません。(設立初年度の会社または清算中の会社で、その事業年度の期間が1年に満たない場合には、中間申告・納付を行う必要がありません。)
タイの中間申告における特徴は、中間納付額が本来納付すべき税額を大きく下回る場合にペナルティを課している点にあります。原則として"予想利益"によって中間法人税額を計算します。

3.個人所得税

■個人所得税の概要
タイにおける所得税を計算する場合、まずその対象となる人が「居住者」であるか、「非居住者」であるかにより、課税される収入の範囲が大きく異なってきます。
タイにおいては、「暦年」を課税対象年度としているため、暦年内のタイ国内の累計滞在日数が180日以上となる場合は、「居住者」となり、その他の者は「非居住者」とされます。

■税率

税率算出表
単位:バーツ
課税所得 税率  控除額(速算用)
0~150,000 0%
150,001~300,000 5% 7,500
300,001~500,000 10% 22,500
500,001~750,000 15% 47,500
750,001~1,000,000 20% 85,000
1,000,001~2,000,000 25% 135,000
2,000,001~4,000,000 30% 235,000
4,000,001~ 35% 435,000

たとえば、所得が150万バーツの場合、
1,500,000 × 25% - 135,000 = 240,000バーツ
が納税すべき金額となります。

■申告・納税

●確定申告
タイにおける所得課税は暦年課税であるため、課税年度(暦年)の所得について、翌年の3月末までに所轄の税務署に申告・納税を行うことになります。  なお、タイに駐在している赴任者が日本に帰国する際には、帰国前に申告・納税を行うことになります。
●中間申告
給与所得以外の賃貸所得、専門家報酬、請負報酬、事業所得を得る納税者は、その課税年度の1月~6月までの半年間の所得について、9月末までに中間申告を行わなければなりません。
●税額納付
納税申告書と同時に納税を行わなければなりません。また、税額が3,000バーツ以上の場合には、3回に均等分納を行う事もできます。もし納めるべき税金を延滞した場合には、月1.5%の延滞税が課されることになります。

4.付加価値税

タイ国内における付加価値を課税対象とする税金であり、以下のような特徴を有しています。
・物品・サービスの消費に対して課される間接税である
・税金の負担者は最終消費者である
・中間業者は税負担しないが、納税義務を負う
・毎月申告納付する義務がある(翌月15日以内に申告・納税)

・納税義務者
VATの負担者は、最終消費者ですが、VATの納付義務を負うのは、物品の販売あるいはサービスの提供を行う事業者(VAT登録事業者)、ならびに物品の輸入者であり、個人・法人を問わず年間売上が1,800,000バーツを超える者は納税義務があります。また、代理人や支店を通じてタイ国内で事業を営む外国法人にもVATの納税義務があります。
ただし、年間売上が1,800,000バーツ以下の小規模事業者は納税義務が免除されます。

・課税地点と税額計算
タイでは、毎月末締で翌月15日までにVATの申告をしなければならないため、どの月に申告するかという問題に関連してきます。納税義務者が納税しなければならない取引には、以下の4つの場合が想定されます。

①物品の販売原則
物品の引き渡し時が発生点となります。
②サービスの提供 原則
サービスの対価が受領された時が発生点となります。
③物品の輸入 原則
輸入税支払時点
④サービスの輸入
当該サービスの対価を支払った時に納税義務が生じます。

計算方法は、日本の消費税や他国のVATと同様に、以下の計算式で求めます。
納税額=(売上に対するVAT )-(購買に対するVAT )

・税率
VATの法律上の税率は、10%(歳入法80条)でありますが、2000年10月1日以降、時限立法により7%に軽減されており、現在も継続して適用されています。
しかし、物品またはサービスの輸出取引のVATは0%課税取引となります。言い換えると、最終消費者がタイ国外に存在する取引にはVATは加算されないことを意味しています。

・納付手続き
VATの登録事業者は、毎月、当該月内の売上に伴い入金したVATと、同月内に支払った仕入VATの額を毎月月末締で計算し、翌月の15日までに申告書に記載し、納税額が発生する場合には同日までに納付しなければならず、還付分があれば、クレジットとして繰り越すか還付申請するかを選択します。
また、サービスの輸入(例えば日本本社へのロイヤリティの支払)等がある場合には、その支払者が所定の申告書を用いて翌月の7日までに申告・納付しなければなりません。税額の支払額がゼロの場合であっても申告は必ず行わなければならない点に注意が必要です。
VATの無申告あるいは過少申告に対する加算税は、税額の200%であって大変重いものとなっております。各会社においては、無用な税金を納めることがないように日頃の取引を正確に記帳することが重要となります。

・タックスインボックス
VATの納税義務者にはVATの課税対象となる物品の販売やサービスの提供を行う場合、その取引の課税点においてタックスインボイス(税額票)を発行しなければなりません。タックスインボイスが売手および買手にとっての証拠書類となり、その入手と記録や保管がタイのVAT制度上重要なポイントです。
タックスインボイスは、納品書、請求書、領収書といった証票と結びつきます。

5.リンク

タイ投資委員会(Board of Investment)
  タイの投資促進機関。優遇政策等を確認できます。

タイ商務省事業開発局(Department of Business Development)
  会社の設立手続き等を規定しています。

タイ統計局(National Statistical Office Thailand)
  人口、社会経済などの統計情報を確認できます。

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