シンガポール進出支援

M&Aに関する税務 |シンガポール進出コンサルティング

M&Aに関する税務

M&A に関する税務

シンガポールのM&Aは、資産を取得する方法と株式を取得する方法に大別できますが、それぞれの方法でかかわる税制に違いがあります。

■資産取得(事業譲渡)
資産取得にかかわる税制には、所得税と印紙税があります。資産を売却する側では、資産売却益に所得税が課税されます。また、売却される資産が有形の資産であれば印紙税が課税され、双方の合意がない限りは、買い手側が負担するのが一般的です。設備投資税額控除に適用される資産もありますが、条件により、その控除が取消される場合もあります。

[のれん]
のれんの償却費は、課税所得から控除することができません。
[設備投資税額控除(減価償却費控除)]
所得税法(ITA:Income Tax Act)では、納税者の事業に使用される資産の資本支出については、税務上、初回および年間控除(減価償却費控除)が認められています。
税務上の設備投資税額控除における、施設および機械の耐用年数は5年、6年、8年、10年、16年に分けられます。特定の建物の建設および改築については、25%の初回控除および5%の年間控除が可能です。
施設および機械(例外あり)は、3年間の加速償却法で税務上減価償却することが可能です。ロボットやコンピュータなどの自動化装置、工場やオフィスに設置された発電装置、公害防止設備などは1年で税務上減価償却可能です。また、1,000Sドル以下の特定の固定資産も同様に、1年で税務上 減価償却可能です。ただし、すべて合わせて1年で3万Sドルまでとなっています。
2011~2015年の間、企業は生産性、革新性控除を受けることができます。これは、ある特定の活動にかかわる資本支出について、追加で課税年度の支出額をベースに3倍の設備投資税額控除を受けることができるというものです。ベースの支出額は40万Sドルまでとなります。また、160万Sドルまでであれば、追加の活動で、投資税額控除を受けることができます。
[繰越欠損金・繰越設備投資税額控除]
資産取得の場合、ターゲット企業の繰越欠損金、繰越設備投資税額控除を引き継ぐことができません。
[商品サービス税]
通常、商品サービス税の登録企業の商品、サービスには7%の商品サービス税が課税されます。資産の移転が、今後継続する事業の移転とみなされた場合、商品やサービスの提供とみなされないため、課税されません。今後継続する事業の移転と証明するには、事業を譲り受けた側が、譲り渡した側で行われていたときと同じ種類のビジネスのために資産を使用しなければならず、シンガポール内国歳入庁(IRAS:Inland Revenue Authority of Singapore)に対して、これを証明できない場合は、売却益に対して7%の商品サービス税を支払います。

■ 株式取得
2010年、シンガポール財務省はM&Aによるシンガポールでのビジネスの成長のために、M&Aスキームと呼ばれる施策を導入しました。その一貫として、M&A控除(M&A Allowance)と印紙税救済(Stamp Duty Relief)と呼ばれるものがあります。このM&Aスキームは、資産取得(事業譲渡)には適用されません。

[M&A 控除]
M&A控除とは、2010年4月1日〜2015年3月31日の間、条件を満たすM&A取引は、買収価格の5%を5年にわたって償却することができるというものです。各年500万Sドル(1億Sドルの5%)が上限となっています。
M&Aスキームの対象となる要件には以下のようなものがあります。

ターゲット企業における株式保有率 仮に買収前に、買収企業が保有しているターゲット企業の普通株式保有率が50%未満の場合、買収後に50%を超える必要があります。
また、買収前に普通株式保有率が50%を超え、75%未満である場合、買収後には75%以上となる必要があります。
A)買収企業
① 買収企業はシンガポールで設立され、税務住民(Tax Resident)である必要があります。企業の事業の支配と管理がシンガポールで実施されていれば税務住民となります。一般的に、外国企業のシンガポール支社は、支配と管理が海外の親会社に帰属するため、シンガポール税務住民として扱われません。
② 買収企業がグループ企業に所属する場合、その究極持株会社(Ultimate Holding Company)もまた、シンガポールで設立され、税務住民である必要があります。
③ 買収日に、シンガポールで事業を行っている必要があります。
④ 最低3名のローカル社員(取締役を除く)を買収日から㴑って12カ月間雇用している必要があります。また、買収日から㴑って2年間はターゲット企業との関連がない必要があります。
B)買収
2012年2月17日~ 2015年3月31日の間に完了するM&A取引であれば、その子会社が買収企業によって間接的に保有されていてもM&Aスキームの対象となる要件を満たす可能性があります。次の①~③の要件を満たすことに加えて、その子会社は、他の会社株式を保有する目的で 設立されていなければなりません。

① 買収企業の子会社は、M&AスキームにおけるM&A控除と 印紙税救済を受けてはいけません。
② 買収企業の子会社は、買収日において、シンガポールまたはその他の場所で事業を行ってはいけません。
③ 買収日において、買収企業によって直接的または完全に保有されている必要があります。
C)ターゲット
① 買収日 において、シンガポールまたはその他の国で事業を行っている必要があります。
② 最低3名のローカル社員(取締役を除く)を買収日 から㴑って12カ月間雇用している必要があります。

上記の要件は、ターゲット企業が直接的または完全に保有する子会社によって満たされる可能性があります。また、2012年2月17日~2015年3月31日の間に完了するM&A取引であれば、ターゲット企業が間接的に保有する子会社によっても満たされる可能性があります。
[印紙税救済]
2010年予算案にて、2010年4月1日~ 2015年3月31日の間で、要件を満たしたM&A取引については、年間20万Sドルまでの印紙税救済を受けることが可能となりました。さらに、2012年予算案では、以下のような印紙税救済のさらなる強化が行われました。この強化は、2012年2月17日〜2015年3月31日において有効となっています。
①子会社を通した買収
2012年予算案以前は、買収企業は直接的または完全に保有している子会社を通してターゲット企業を買収するケースのみが要件を満たすことができていました。しかし、2012年2月17日より、子会社のみならず、完全に保有している孫会社以下の階層にある会社を通したターゲット企業の買収においても、要件を満たすことが可能となりました。

②ターゲット企業(被買収企業)の要件
2012年予算案以前は、ターゲット企業もしくは直接的または完全に保有している子会社のみが印紙税救済の要件を満たすことができていました。しかし、2012年2月17日より、子会社のみならず、完全に保有している孫会社以下の階層にある会社も条件を満たすことが可能となりました。

③究極持株会社
買収企業は、シンガポールに設立された、税務住民である究極持株会社によって保有されていなければなりません。しかし、2012年2月17日より、場合によってはこの要件が免除されることになりました。この免除は、経済開発庁(Economic Development Board)によって管轄されています。

印紙税救済が確定されるまでは、一旦印紙税を支払う必要があります。当該M&A取引が印紙税救済の要件を満たした後に、シンガポール内国歳入庁から支払った印紙税が払戻されます。
[繰越欠損金]
ターゲット企業の繰越欠損金は将来の課税所得と相殺が可能ですが、株主継続テストの対象となります。株主継続テストでは、発行株式の50%以上が同じ株主によって保有されている必要があります。
株主継続テストの意図は、繰越欠損金のある会社を、税務メリットを目的として買収することを防ぐことにあります。株主構成が大きく変化する状況で、シンガポール財務省の担当者などに、株主継続テストの免除を訴えることもできますが、財務省は省自身のメリットをベースにその訴えを検査します。そのため、テストの免除を受けた場合であっても、欠損金を出した事業と同じ事業の利益に対してのみ相殺できるといった制約が付されます。

シンガポールにおけるM&Aトピック

M&サービス |シンガポール進出コンサルティング

シンガポール企業のM&・デューデリジェンス支援業務フロー

経営・財務リスクの発見

各種手法を用いた企業価値の算定

ターゲット企業との価格交渉

プロジェクトチームを組んで財務デューデリジェンスに対応いたします。

当グループの国際M&Aを専門に取り扱っている株式会社東京ベンチャーキャピタルと連携して行っております。詳しくは下記ホームページをご覧ください。
株式会社東京ベンチャーキャピタルホームページはこちらへ

セミナー情報

海外進出セミナ-開催中
セミナー一覧はこちらから

関連サイト

今すぐ無料お試し!
ニュースレター申し込み