ラオス進出支援

労務・労働法

目次

1.ラオスの労働法■労働基準関係法令 ■雇用契約と就業規則

1.ラオスの労働法

 ■労働基準関係法令

●日本とラオスの労働条件比較
ラオスにおいても、日本の労働基準法に規定される労働基準と同様の基準が規定されていますが、具体的な労働者度基準についてはそれぞれ異なった規定がされています。

【日本とラオスの労働基準比較】
日本ラオス
労働時間 1日8時間
1週間40時間
1日8時間
1週間48時間
※特定の危険な業務に就労する労働者に関しては、1日6時間、週36時間
休憩時間 連続して6時間を超えて労働する場合には45分以上、8時間を超える場合には60分以上の休憩 1時間あたり15分超えない休憩
交代制1交代当たり45分食事休憩
※通常一日1時間の休憩を設ける
休日週1日以上の休日週1日以上の休日
割増賃金 時間外労働:1.25倍
※月60時間を超える時間は1.5倍の例外あり
深夜労働:1.25倍
休日労働:1.35倍
時間外労働:1.5倍
深夜労働:1.15倍
深夜時間外労働:2倍
休日または公休日時間外労働:2.5倍
休日または公休日深夜労働:3倍
※時間外労働時間数は、例外的状況を除いて1カ月45時間を超えてはならない
年次有給休暇 6カ月以上:10日以上
1年6カ月以上:11日以上
2年6カ月以上:12日以上
3年6カ月以上:14日以上
4年6カ月以上:16日以上
5年6カ月以上:18日以上
6年6カ月以上:20日以上
※上記期間の出勤日数要件あり
通常有給の持ち越しは2年間
1年以上の有期雇用契約あるいは期間を定めない労働契約に基づき1年以上働いている労働者は、年間15日の有休を取得することができる。1日6時間を越えない時間で勤務する労働者は、年間18日の有休を取得することができる。なお、週休及び法定休日は、有休には算入されない。また、月給制で働いている労働者は、医者の証明を条件として、年間30日までの傷病休暇を取ることができる。時間給、日給、個々の契約で90日以上働いている労働者は、社会保障制度により報酬を受けることができる。
その他 【祝祭日】
1月1日…新年
3月8日…女性の日
4月13~15日…ラオス正月
5月1日…労働日
6月1日…子供の日/植林の日
10月22日…ボートレース祭り
11月5日…タートルアン祭り
12月2日…建国記念日
12月31日…暦年末日

2. 雇用契約と就業規則

■雇用契約書の作成
使用者は、労働者を雇用する場合には、日雇いなど短期的な業務を除き、書面で雇用契約書を作成しなければなりません。雇用契約には、有期雇用契約(期間を定めのある雇用契約)と無期雇用契約(期間を定めない雇用契約)とがありますが、雇用契約の期間を定める場合には、使用者が一方的に決定するのではなく、労働者本人との合意によって決めなければなりません。

■試用期間
使用者は、労働者の技能遂行能力の有無を確認するために、労働者を雇用する際に試用期間を設ける権利を有しています。試用の期間は、職種に応じて以下のように規定されています。

・肉体労働職(肉体労働のように、経験も専門技術も必要しない労働)…30日以内
・専門技術職(専門技術を有する労働)…60日以内

ただし、試用期間中であっても、本採用時の9割以上の給与を支給しなければなりません。
試用期間満了の際には、使用者は7日前までに、その後の本採用の可否について、書面にて通知しなければなりません。労働者が必要な技術・能力を欠く場合、試用期間を延長もしくは採用の見合わせることもできます。また、試用期間の延長をする場合には30日以内で設定しなければいけません。
なお、労働者が、試用期間中に疾病のため、またはその他のやむを得ない理由のために欠勤をする場合には、その期間を試用期間に含めてはいけません。

■雇用契約の終了
使用者又は労働者一方からの通知によって雇用契約を終了とする場合には、雇用契約の期間の定めの有無及び職種によりそれぞれ以下の期日までに事前に通知しなければいけません。

[無期雇用契約]
・肉体労働職(肉体労働のように、経験も専門技術も必要しない労働)…15日前まで
・専門技術職(専門技術を有する労働)…45日前まで
[有期雇用契約]
職種を問わず、15日前まで
なお、有期雇用契約の場合には、雇用契約の延長をする場合にも、15日前までに通知をし、新たな雇用契約を締結しなければなりません。

■就業規則の作成義務と作成項目
ラオスでは、日本と同様に10人以上の労働者を常時雇用する使用者は就業規則を定め、労働者に周知徹底しなければなりません。就業規則を作成する際には、ラオスの労働関連諸法令に遵守しなければなりません。また、事業所で就業規則を作成した際には、事前に労働監督機関の承認を受ける必要があります。

■解雇
使用者が、労働者の専門的技術が不足している場合や、健康状態の理由により労働者を解雇する場合には、事前の通知のうえ、解雇手当を労働者に支払う必要があります。解雇をする際には、職種によって、それぞれ以下の期日までに事前に通知をしなければなりません。

・肉体労働職(肉体労働のように、経験も専門技術も必要しない労働)…15日前
・専門技術職(専門技術を有する労働)…45日前

雇用契約を終了する前に、使用者は当該労働者の能力や健康に応じて適切な配置転換を検討しなければなりません。ただし、適切な仕事が無い場合には、雇用契約を終了することができます。また、経営環境の悪化等の理由により、労働者を解雇する場合には、労働監督機関と労働者に45日前までに通知をしなければなりません。
なお、労働者の専門的技術の不足、健康状態の理由又は経営環境の悪化等により解雇をする際には、勤続年数や給与形態に応じて、下記の解雇手当を労働者に支払う必要があります。

[解雇手当]
・勤続年数が3年以内の場合…月給の10% ・勤続年数が3年を超える場合…月給の15% ・出来高賃金制度労働者…退職直近3カ月間分給与の平均に基づき算定

また、不当な理由により解雇をした場合には、使用者は勤続年数が3年以内の場合には月給の15%、勤続年数が3年を超える場合には月給の20%の補償金を支払わなければいけません。
なお、以下の事由により解雇をする場合は解雇手当を支払う必要はありません。

・不誠実な行動をとったり、使用者の財産に故意に多大な損害を与えた場合(ただし、そのような違法行為に対する証拠が必要)
・使用者からの再三の警告にも関わらず就業規則を違反した場合
・正当な理由なしに連続4日間以上の欠勤をした場合
・裁判所の判決により禁固刑に処せられた場合

ただし、上記の事由に該当し、解雇手当の支払をしない場合であっても、使用者は3日前までに従業員に対して通知をしなければなりません。従って、上記事項に該当して解雇とする場合には、解雇の通知を行ってから3日後以降を退職日として取り扱わなければいけません。

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