インド進出支援

インド進出

インド進出のメリット

日本市場は、人口減などにより経済の成長が鈍化傾向にあります。一方で新興国を含めた海外の市場は、着実に成長を遂げています。この海外の成長を取り込もうと、近年では海外進出を行う企業が増加傾向にあります。
このような状況の中で、2015年ではインドには、1,229社の日系企業が進出していると言われています。本稿では、海外進出にあたり、なぜインドに進出すべきなのか、インド進出のメリットをご紹介いたします。

■成長が期待される超巨大消費市場

経済の長期展望をする目安となるひとつが人口です。現在のインドは、若年層を含む12億人もの人口を擁し、毎年430万人もの新卒者がます。インドの労働力人口は2050年にかけて毎年約1%ずつ増加していくと見込まれており、2025年までに中産階級が6億人にのぼると言われています。それらの人口は将来的に実質的な購買力を備えた消費者層(=中間層)となり、有望な消費市場をもたらすものと考えられております。 こうした人口増加による好景気への期待から、アジア開発銀行(ADB)が2011年に発表した予想によれば、インドの中間層が向こう15年間で人口の7割に達するとの見方もあります。2060年ごろまで人口の増加が継続すると予測され、2028年には人口14億5000万人に到達し、中国を抜いて世界一の人口大国になると言われています。
IMFによると、2012年には購買力平価ベースで、日本を抜いて世界3位になりました。また、2015年のGDPは、世界第7位にランクインしています。一人当たりGDPは世界144位ですが、これはむしろ成長余地があることを示しています。国内市場の縮小に直面している日本企業にとって、成長著しいインド市場は、大きく飛躍する舞台に最適だとして、すでに多くの日本企業がインドに進出し、業績を上げています。

■今後の経済の見通し

中国経済は2030年ごろにはピークアウトしますが、インド経済は中国失速後も成長を続くと期待されています。Citi Private Bank社らの調査では、2050年までにインドが世界最大の経済大国になると予測されています。
アジア開発銀行が近日発表した最新の経済見通しによると、2015年、16年の枠内経済の成長率は6.3%を維持するとし、特に構造改革が進むインドの成長率は枠内の主要国で最高となっております。また、これからの予測では減速傾向を強める中国を上回る見通し。インドの15年の成長率は7.8%、16年は8.2%と予想されました。また、新政権による、国家会計の新基準を導入し、経済成長率を従来の予測から大幅に引き上げられました。法人税の引き下げにより製造業の誘致を目指しているほか、通信や鉄道などのインフラ整備も加速し、アジア開発銀行はこれらの改革について海外投資家の信頼感につながると評価しております。また、IMF(国際通貨基金)のインドGDPの推移によると2015年を境に右肩上がりだという事が見てとれます。

■若く優秀な労働市場

インドは南アジア随一の面積と世界第2位の人口を持つ大国です。この大国の経済成長を支える原動力として、若く優秀な労働力が挙げられます。30代以下の人口が多く、前述の通り、毎年430万人もの新卒者がおり、うち90万人が理系出身者です。全人口の識字率は70%を超え、人件費も日本国内と比べ約8割節減できるといいます。
IT時代の到来と、英語を流暢に話し、教育された多くの若者たちにより、インドはアフターサービスや、技術サポートの世界的なアウトソーシングの重要なバックオフィスへと成長しました。さらにインドは、ソフトウェアや金融サービスにおいて、高度な熟練労働者の主要な輩出国となっております。

■成長第一の経済政策

○経済政策の展望

世界銀行が毎年発表している「Doing Business」の2016年度版によると、インドは総合で190カ国中130位にランクインしています。しかし、国連貿易開発会議が発表した、世界投資レポート2016によると、FDIの流入先として南アジアでは4位、全世界でも10位にランクインしています。これはインド進出が、「入り口は難しいが、それに見合うリターンが必ずある」という期待を持たれている証拠と言えます。
この傾向をさらに加速させているのが、新政権の首相ナレンドラ・モディ氏の経済政策です。モディ氏は、これまでの事業の足止めの原因となっていた汚職の撤廃を目標に掲げており、主としてインフラ関連事業の促進を図っています。インドでビジネスを展開する上で弊害となっていた、インフラの整備が促進される事により、インド投資に対する一つの懸念が改善される事が期待されます。
Doing Business 2016の順位を見てみると、電力の供給が大きく順位を上げています。これは工業団地の開発や、経済特区(SEZ)の設置などにより、インフラ投資が促進したことが要因と考えられます。
税金の支払がかなり低い順位になっています。インドの税制は、かなり複雑だと言われており、これは課税権が中央政府と州政府にあり、このため週により税率が違う・重複した税目があるなどするためです。しかしモディ首相は、この複雑な間接税を一本化するGSTの導入を進めており、入り口の難しさが一つ払拭されることが期待されています。

○奨励業種について

インドでは、外資向けに設定された特別な優遇策は特にありません。しかし、内資・外資企業を問わず、特定の分野に対する投資には、優遇措置が設定されています。ただし、特別な規定がない限り、直接税の減免措置を受ける事業についても、最低代替税(MAT)の適用対象となることに注意が必要です。

投資奨励業種(一部抜粋)
1. インフラ分野
道路・上下水道・廃棄物処理などの開発に対して、プロジェクト開始から20年間のうち、連続する10年間の法人税非課税措置(タックス・ホリデー)が適用されます。
空港や湾口などの開発に対しては、プロジェクト開始から15年間のうち、連続する10年間の法人税非課税措置(タックス・ホリデー)が適用されます。
通信分野への投資は、最初の5年間は法人税の免除、その後5年間は法人税の30%が免除されます。

2. インド国内での研究開発
インド進出の目的が研究開発を主とするなど、一定の条件を満たした企業が、インド国内で研究開発を行った場合、10年間の法人税非課税措置(タックス・ホリデー)が適用されます。(その他の所定条件あり)(1961年所得税法第80-IB条)。
また、科学・産業研究局にその研究や開発施設が登録されている国立研究所・大学・その他研究機関は、研究に要した経費の200%までが法人税控除対象となります。2017年4月以降、制度が変わり、適用される控除割合が変更されるので、注意が必要です。

3. 発送電分野(1961年所得税法第80IA条)
発電や送電網などへの投資は、プロジェクト開始から15年間のうち、連続する10年間の利益全額が免税対象となります。ただし、この投資を通じた電力の発電、供給、送配電網の補修などを2017年3月31日以前に開始する必要がある等の条件があります。

4. 指定された州・地域への投資
地域別の優遇措置は特に貧困比率が高い北東部の州が対象とされ、雇用創出や州内総生産(GSDP)の成長を目的としています。これにより、インフラや産業開発を推進し、官民パートナーシップ(PPP)を促進することが期待されています。
例えば、ウッタラカンド州及びヒマチャル・プラデーシュ州では、中央販売税が5年間1%に減税されるなどの措置を用意しています。

○特別経済区(SEZ: Special Economic Zone)について

特別経済区(SEZ)とは、輸出・雇用振興を目的に、免税などの各種優遇措置を適用する「みなし外国地域」のことを指します。一定の要件を満たしているSEZの開発企業および入居企業は、以下のような優遇措置を受けることができます。

1)法人税
・最初の5年は輸出利益の100%を控除
・次の5年は輸出利益の50%を控除
・その次の5年は、収益を再投資する場合、輸出利益の50%を控除
※但し、一度期限が切れると更新は不可

2)関税
・認可された事業のための輸入品に対する関税免除
・入居企業からインド国外への輸出品に関して関税なし
※国内一般関税地域(DTA)への販売分への関税はあり
・輸入許可申請・ライセンス不要

3)物品税
・認可された事業を行うためにDTAからSEZ入居企業へ運ばれたモノに対する物品税の免除
・SEZ入居企業が製造するモノに対する物品税の免除
(ただしクリアランスは関税の対象)

4)付加価値税(VAT)
・州内(ほぼ全州)で、モノの購入における付加価値税の免除
・認可された事業で使用するモノの州をまたいでの購入における中央売上税(CST)の免除

5)サービス税
・認可された事業のため、SEZ内でSEZ企業が受けるサービスはサービス税対象外
・認可された事業のためだけではないその他サービスは、条件によってサービス税還付できる
・SEZ企業が提供するサービスが“サービスの輸出”に該当する場合は税率ゼロ

6)その他
州によっては、印紙税の免除、付加価値税(VAT)の免除や還付、電気料金の免除等

なお、SEZ開発を2017年4月1日以降に開始する企業や、製造活動を2020年4月1日以降に開始する企業に対して、法人税免税は適用されません。(1961年所得税法第80IAB条、第10AA条)

■超・親日国

インドと日本は過去に戦争をしたような関係が一度もなく、またチャンドラボース率いるインド国民軍を日本が支援したこともあり、インド人は日本に対し強い親近感を持っています。昭和天皇が崩御された時に、インドは国を挙げて3日間喪に服したことからも、インド人の親日ぶりはうかがえると思います。こうした背景から、インドでは、日本企業向けの優遇措置を用意しています。

○日本企業専用工業団地

インド進出は、主にインドを消費市場として狙う企業と、生産拠点として進出する企業があります。日本企業専用工業団地は、独立行政法人日本貿易振興機構(JETRO)が、インドの各州政府と覚書を締結し、州政府が開発した工業団地の一部を日本企業専用に提供するというものです。
これにより日本企業の集積をはかり、その州における日本企業の製造拠点の設立をバックアップされます。

日本企業専用工業団地での設立のメリット(一部抜粋)
・ラジャスタン州
‐ニムラナ日本企業専用工業団地
ソフトインフラとして日本料理屋や、サービスアパートなど、日本人向けの住環境が整備されていることも魅力の一つです。
この工業団地での設立のメリットは以下のような免税措置があげられます。
1)他州への販売にかかるCST(中央販売税)が、2%から0.25%に免税
2)電気使用税が50%免税
3)土地取得税が40%免税

‐ギロット日本企業専用工業団地
2015年4月より分譲を開始した比較駅新しい工業団地です。生産開始後、3年と5年利用することでそれぞれ土地代の10%と15%の返金を受け取ることができます。
この工業団地での設立のメリットは以下のような免税措置があげられます。
1)他州への販売にかかるCST(中央販売税)が、2%から0.25%に免税
2)電気使用税が50%免税
3)土地取得税が40%免税

・グジャラート州
マンダル日本企業専用工業団地
設立に際して免税措置などは用意されていませんが、土地の価格がラジャスタン州の2/3程度と低く抑えられています。この工業団地での設立のメリットは、下記のような恵まれた環境にあります。
1)DMIC(デリー・ムンバイ間産業大動脈構想)の開発予定区
2)インド唯一電気を販売できる、安定した供給力
3)輸出拠点として期待できる、国内有数の湾口

○日本・インド包括的経済連携協定

日本・インド包括的経済連携協定は、日印両国間の貿易のみならず、自然人の移動、投資、知的財産、政府調達、ビジネス環境整備といった広範な分野を含む内容となっています。シン首相は、2010年10月の日印首脳会談の際に、「日本には技術と資金、インドには労働力と市場がある」と述べており、本協定発効により日印両国の相互補完性が発揮され、二国間経済関係が一層強化されることに期待が寄せられています。 この協定により、企業が得られる具体的なメリットは、大幅な関税の撤廃だと言えます。現在、日印両国間の物品貿易では、インドからの輸入総額のうち80%、インドへの輸出総額の約10%が無税とされています。本協定では、物品の貿易に関して、発効後10年間で、日印間の往復貿易総額の約94%、インドからの輸入総額の約97%、インドへの輸出総額の約90%について、関税を撤廃することになりました。ただし、コメや麦、牛肉、豚肉などは日本側の意向で除外されました。日本からの輸出では、自動車部品や鉄鋼製品、機械などの大半が無税になります。 日本側で関税撤廃される予定の総品目数は約7,850品目です。そのうち即時に関税を撤廃するものは約7,140品目で、残りの約710品目については段階的に撤廃されていくことになっています。 鉱工業品については、日本側はほぼすべての品物について、協定発効後関税が即時撤廃されることになりました。これにより、自動車部品等の関税が撤廃されたことから、インドで現地生産している自動車メーカーでは、コスト削減が可能となりました。
日本の各主要メーカーが現地生産を進めていますが、精密なものなど現地調達が難しい部品については日本から輸入して賄っています。インドの自動車市場では小型車が主流であるため、少額のコスト削減が価格競争力に大きく影響してきます。こうした理由から、関税の引下げはメーカーにとって大きなメリットとなります。 完全に関税が撤廃されるのは早くても2021年以降とされており、2010年1月に発行した韓印FTAでは、インド側の関税撤廃期間は最長でも2018年までとされています。インドの関税制度では、輸入品に対して基本関税(BCD)だけでなく追加関税、特別追加関税等、数種類の関税が賦課されます。これらの追加的関税は各種国内税に相当するもので、本協定でも関税撤廃及び引下げの対象とはなりません。対象となるのはあくまでも基本関税のみです。

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