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M&Aに関する税務

M&A に関する税務

M&Aを行った場合、それに伴いさまざまな税務上の規定が関係してくるため、注意が必要となります。
すなわち買収前には、株式の売却取引に係る税務規定、買収後には繰越欠損金に係る税務規定など、M&Aを取り巻く税務の影響は広範に及びます。
一方で、税制優遇措置等の恩恵を享受できるか否かという点についても、留意が必要です。

■ 株式譲渡

[株式の譲渡時に係る税金]

株式の譲渡益
売り手が株式を譲渡したときに生じた利益は、その利益に対して課税されます。また当該売却代金を外国人投資家の居住国に送付し、その居住国の法律で課税される国際的な二重課税が生じるおそれもあります。中国と各国との間で 租税条約が締結されているかどうかによっていずれの一方の国での課税が免除される可能性もあるため、事前に調べておく必要があります。
中国税務上、各投資家の株 式 譲渡益の取扱は、以下のとおりです。

増値税(中国の付加価値税の一種)
株式の譲渡には、増値税は課税されません。

印花税(Stamp Tax)
印花税は日本の印紙税に非常に類似したものです。大きく異なる点は2つです。まず、日本の印紙税は累進税率であるのに対し、中国は比例税率(課税標準と税額の割合が常に一定)を採用しています。また、日本の印紙税に比べ、徴収範囲が狭い点が挙げられます。
課税対象金額は、証明書類の金額です。当該税率については契約により異なりますが、売買契約であれば売買代金の0.03%、金銭貸借契約であれば借金金額の0.05%、財産権移転証明書であれば、0.05%が課税されます。また権利証明書であれば、一件当たり5元です。
さらに、中国印紙税法上、中国以外の国で作成された文書であっても中国内で法的効力を有し、法律の保護を受ける文書については、条例の規定に従って印紙を貼付しなければならないとされています。

[株式買収後に係る税務規定]
繰越欠損金の継続
繰越欠損金の継続を適用するためには、下記の5要件をすべて満たす必要があります。
  • 合理的な商業目的を有し、納税の減算、回避・遅延を目的にしないこと
  • 持分または資産譲渡の場合、買取か、買収資産のいずれかの比率が全持分、または全資産の75%を下回らないこと
  • 企業再編後12カ月以内は移転した資産の経営活動を変えないこと
  • 企業再編取引対価額が、取引総額の85%を下回らない
  • 企業再編において新たに持分の交付を受けた主要出資者は、再編後の12カ月内に当該取得持分を譲渡しないこと

上記の規定を満たした場合、毎年の上限を限度とし、 繰越欠損金(5年間)を引き継ぐことが認められています。

優遇措置
企業再編後に適用される、優遇措置がいくつか規定されています。外国投資比率が25%を下回った場合、中国企業と同様に取扱われます。外資系企業の出資の絶対額の変動がない場合、過去に受けた外国企業所得税の免税、減税の追加納付はありません。免税優遇措置の規定はまだ不明確な点も多いですが、これから補足通達が公布されると予想されます。
また、株式買収等で企業の適格資産の一部もしくは全部を、その関連する債権、債務、労働力と併せて譲渡する場合は、資産再編として次のように増値税、 営業税の優遇措置が受けられます。

株式取得に要した費用の取得原価算入
株式取引の際、専門家への支払や、買い手が負担するべき税金等について新企業取得税法には明確な規定がないため、原則として損金に算入することができません。しかし、取得原価として計上しておき、当該株式を売却する際の源泉税の取得費用に算入することができます(ただし、買い手が負担するべき費用は除く)。

■ 資産譲渡

[資産譲渡に係る税金]
資産の譲渡益に対する課税資産譲渡の際、譲渡益に対して通常の所得税(25%)が課されます。ただし、取得した資産の一部に増値税等の不払が生じた場合は、中国税関による追跡調査が行われるなどの リスクが存在する点に注意が必要です。

営業税
売り手に対して、特許等の無形資産、土地使用権および建物に対して営業税が5%課されます。なお、土地利用権に関しては、別途土地増 値税が課されますので、注意が必要です。

増値税
売り手に対して、棚卸資産(増値税課税仕入れ対象外)、中古固定資産(2009年以降取得)の売却価額に17%の増値税が課されます。また中古固定資産(2008年以前取得)に対する増 値税は2%です。

印花税(ST:Stamp Tax)
資産譲渡契約書についても 印花税は発生します(P.168参照)。 売い手と買い手の双方の契約額の0.03%(所有権移転証明書については0.05%)が課税されます。

消費税(CT:Consumption Tax)
中国の消費税は奢侈性の高い物品や環境汚染品に対して課されます。具体的には酒類・たばこ・宝飾品・乗用車・化粧品・爆竹・燃料油などです。各種品目別に税率が定められていますが、タバコなどは最大45%の税率を課される場合もあります。

[資産譲渡後に係る税務]

のれん
のれんの償却費は、損金に算入することはできません。

繰越欠損金の継続
売り手および買い手の繰越欠損金は、引き継ぐことはできません。

優遇措置
株式買収と同じく企業の適格資産の一部もしくは全部を、その関連する債権、債務、労働力と併せて譲渡する場合、増値税、営業税の優遇措置が受けられる可能性があります。具体的には株式買収における優遇措置と同様です(P.169参照)。

■合併

繰越欠損金の継続
合併における繰越欠損金の継続は、株式買収後における繰越欠損金の場合と同じです(P.169参照)。
ただし、分割会社に関しては、分割資産の全資産に占める割合で案分した繰越欠損金額のみを引き継ぐことになります。

優遇措置
吸収合併および存続分割に関しては、減免税の優遇措置規定があります。ただし、不明確な点が非常に多いため、これから補足通達が公布されると考えられます。あらかじめ中国税務当局に確認を取る必要があります。
また、企業の適格資産の一部もしくは全部を、その関連する債権、債務、労働力と併せて譲渡する場合は、増値税、営業税の優遇措置が受けられる可能性があります。具体的には株式買収における優遇措置と同様です(P.169参照)。

■その他の関連する税務

[過少資本税制]

過少資本税制とは、資本に係る配当と負債に係る利子との課税上の相違点を利用した租税回避行為を規制するために設けられた税制です。外資系の現地法人が本国親会社から資金調達を行う際に適用されます。以下の2通りの方法が考えられます。

  • 出資を受け資本とする方法
  • 資金の貸付を受け借入金とする方法

前者により発生する支払配当金は、課税所得計算上、損金として扱われません。後者により発生する支払利息は損金として扱われ、法人の課税所得を減額させる効果を生むため、現地外資系法人においては、資本金を少なくして、借入金を多くする傾向があります。
これは税収確保の観点からすれば決して好ましい傾向ではなく、現地政府は資本と債務のバランスのあり方について規制し、過度の租税回避を防止しています。そして、当該税制は2008年中国新所得税法に取込まれました。原則として外資系企業は投資総額によって、ある一定の負債比率を維持する必要があります。

中国投資の足掛かりとして、多くの企業が資本金の出資を考慮していますが、中途半端な出資には リスクがあります。すなわち中国での合併では、中国での少数株主は出資額までは責任を負いますが、日本と異なり、経営権がない場合があり、決定権や拒否権は乏しく、撤退も容易ではありません。中国において、少数株主はあまり保護されないのが現状です。 リスクを最大化させたスキームを作ってしまう可能性があります。100%支配なら確実ではありますが、51%や70%では、必ずしも支配ができるとはいえない状況です。
中国のパートナー企業との関係を適切に構築していくことが重要です。

■買収対象企業の税務状況
毎期納税していても、正式な納税額は税務調査が入るまで確定しません。しかも、中国では、なかなか税務調査が入らない場合や、 買収時点で税額が確定していない場合もあります。特に、第12次五カ年税収発展計画の概要では、税務調査の増強が明示され、税務コンプライアンスの強化も求められていますので注意が必要です。

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