バングラデシュ
進出支援

労務・労働法

目次

1.雇用契約書と就業規則■雇用契約書と就業規則 ■雇用契約の概要 ■雇用契約の終了
2. 日本とバングラデシュの労働条件比較■日本とバングラデシュの労働条件比較

1.雇用契約書と就業規則

■雇用契約書と就業規則
使用者は労働者を雇用する際、労働条件等を記載した雇用契約書を発行しなければならず、雇用された労働者は入社の際に身分証明書と写真その他会社ごとに定められている提出物を提出しなければなりません。雇用契約についてはLabour Act, 2006 CHAPTERⅡ CONDITIONS OF SERVICE AND EMPLOYMENTに規定されています。 バングラデシュにおける就業規則は、労働者の職場全体のルールを規定するものとして存在します。就業規則は、社内でのルールを制定してトラブルを避けるためにも、進出直後に人数が少ない場合でも作成しておくことが望ましいといえます。全ての産業の雇用主はThe Employment of Labour Act 2006の順守義務がありますので、就業規則を作成する際にも労働法の規定に準じて作成する必要があります。 また、バングラデシュでは、雇用主は雇用契約書、就業規則の作成のほかに、サービスブック、登録簿、チケットカード等の制度に対応しなければなりません(実習生、日雇い、臨時雇い労働者は適用外)。 雇用主は労働者に自己負担でサービスブックを提供し、監督をします。労働者は、以前の職場でのサービスブックを所持している場合は新しい雇用主へ渡し、雇用主が保管し領収書を渡します。雇用主は、労働者の雇用期間終了時にサービスブックを返却します。 登録簿は、労働者の氏名・生年月日、入社日、仕事内容、就業時間等を記載して、会社に備え付けておく必要があります。 チケットカードは、常勤労働者、非常勤労働者ごとに区分したカードを会社が配布します。雇用契約の期間中は、労働者はチケットカードを所持し、雇用契約の満了の際に会社に返却します。

【サービスブックと登録簿の必要事項】
項目内容
サービスブック・労働者の写真
・労働者の両親の名前(または夫や妻の名前)
・労働者の住所、生年月日、身分証明に必要な項目
・以前の雇用主の名前と住所、雇用期間、職業、役職、賃金、手当、有効年休み、労働者の業務
登録簿・組織内の労働者各人の名前と生年月日
・採用日
・仕事内容、労働時間
・休憩および食事の間隔、休暇日数
・本人が所属するグループ
・交代制の場合の配属先
・規則に定められるその他の事項

■雇用契約の概要
 バングラデシュでは、雇用契約書の作成義務はありませんが、通常ベンガル語もしくは英語で書面により作成をします。雇用契約書は、労働法に準じた内容で作成する必要があります。 試用期間については、職種等によって取り扱いが異なっています。事務職労働者の試用期間は6カ月、その他の労働者の試用期間は3カ月まで規定することができます。 また、熟練労働者の場合、最初の試用期間3カ月中に労働者の資質を判断しかねる場合には試用期間を更に3カ月延長することもできます。延長した試用期間も含めた試用期間中に、正式な雇用契約に至らず、雇用契約の打ち切りとなった労働者が、3年以内に同じ雇用主に再度採用された場合、常勤採用の場合を除いて、実習生として見なされ、以前の試用期間についてもその労働者の試用期間として含めて扱われます。 なお、バングラデシュでは法定の就業規則の作成義務はありませんが、特に日系企業では労務管理上人数が少ない場合でも作成するか、雇用契約書の中で会社のルールも盛り込むなどして労務管理上のトラブルを防止することが望ましいと言えます。

■雇用契約の終了
日雇いもしくは臨時雇い労働者を除き、就業期間が1年未満の労働者を解雇する場合、雇用主は、解雇した日から本来の有期雇用契約の満了日までの全日数分の補償を支払わなければなりません。補償金額は基本賃金総額の半分に相当する金額以上を支払います。 また、期間の定めのない雇用契約で5年以上勤務していた労働者が退職する際には、使用者は勤続年数に応じて以下の退職給付を支給しなければなりません。

【退職給付金】
勤続年数退職給付
5年以上10年未満就業1年につき14日間の基本賃金
10年以上就業1年につき30日間の基本賃金

さらに、 余剰人員を理由に解雇する場合、解雇理由を示して1カ月以上までに解雇の事前予告をするか、事前予告の代わりに解雇予告手当の支払を行います。就業期間1年につき30日間相当の賃金以上を支払わなければなりません。 ただし、不正行為による解職の場合は、解雇予告および解雇予告手当の支払は不要となります。不正行為とは、以下のような行為をいいます。 ①上司による合法的、妥当な命令に対して従わない行為、業務命令違反 ②使用者の業務もしくは資産に関連した窃盗、詐欺、不正行為 ③労働者もしくは他の労働者に関連した賄賂取引 ④10日以上の無断欠勤 ⑤常習的な遅刻や早退 ⑥法律、規則、もしくは組織に適用される規定に対する常習的な違反 ⑦組織内での暴動や乱暴な行為、もしくは規律に反する行為 ⑧業務の常習的な不履行 ⑨就業規則、雇用契約書その他雇用関連規則に定める事項に関する常習的な違反 ⑩使用者の公式な記録の偽造、買収、損傷、紛失の原因となる行為 一方、労働者が自己の都合により雇用契約を解除する場合には、労働者は使用者に対して2カ月(60日)前までに書面により通知するか、通知期間の代わりにその期間分の賃金を放棄しなければなりません。 バングラデシュでは通常労働者の定年は57歳です。労働者の年齢の計算は本人のサービスブックに記録される生年月日で行います。また、労働者の能力や健康状態等を考慮して、定年退職後に再雇用することもあります。

2.日本とバングラデシュの労働条件比較

■日本とバングラデシュの労働条件比較
雇用契約書や就業規則に労働条件を記載する場合には、バングラデシュの労働法に基づいて作成する必要があります。主な労働条件は、以下の通りです。

項目日本バングラデシュ
労働時間1日8時間
1週間40時間
1日8時間
1週間48時間
休憩時間連続して6時間を超えて労働する場合には45分以上、8時間を超える場合には60分以上の休憩1日8時間労働のうち1時間の休憩
休日週1日以上の休み店舗、商業用施設、その他の各産業では1週間に1.5日の休日が認められる。
ただし、道路交通サービス関係の事業の場合は1週間に24時間で1日の休みが与えられる。なお、休日を取得した場合でも、給与の控除はしてはならない。
割増資金時間外労働:1.25倍
※月60時間を超える場合は1.5倍の例外あり
深夜労働:1.25倍
休日労働:1.25倍
時間外労働:通常給与の2倍
ただし、残業は1日最高10時間、1週間最高60時間まで
年次
有給休暇
6カ月以上:10日以上
1年6カ月以上:11日以上
2年6カ月以上:12日以上
3年6カ月以上:14日以上
4年6カ月以上:16日以上
5年6カ月以上:18日以上
6年6カ月以上:20日以上
※上記期間の出勤日数要件あり
通常有給の持ち越しは2年間
成人労働者が1年間就業後1年ごとに18日間の有給休暇が与えられる。
以下の業種は、有給休暇の付与日数に上限がある。
・工場や道路サービス:40日
・店舗、商業、産業組織:60日
※通常有給休暇の持ち越しは1年間
その他――臨時休暇:労働者は暦年で10日間、有給の臨時休暇を取得することができる。ただし、この休暇は累積したり、翌年に持ち越すことはできない。
傷病休暇:指定登録医療により病気休暇が必要であることが証明された場合に、暦年で14日間の病気休暇を取得することができる。ただし、この休暇は累積したり、翌年に持ち越すことはできない
出産休暇;女性労働者は、出産予定日前に8週間と出産後に8週間の出産休暇を取得することができる。ただし、勤続期間が6カ月未満の場合は出産休暇は取得できない

セミナー情報

海外進出セミナ-開催中
セミナー一覧はこちらから

関連サイト

今すぐ無料お試し!
ニュースレター申し込み