バングラデシュ
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バングラデシュの会社法

バングラデシュの会社運営について規定している法律は、1994年会社法(The Companies Act (Bangladesh), 1994)です。同法では、会社の機関設計から設立、株式の発行などといった基本事項を定めており、バングラデシュで登記される法人は、同法に従って活動を行わなければなりません。

目次

1.株主(株主総会) ■株主数 ■株主総会
2.取締役(会) ■取締役の人数 ■取締役の国籍・居住性 ■取締役の選任・解任 ■マネージングディレクター
3. 会計監査人 ■会計監査人の要件
4. 会社秘書役 ■会社秘書役の要件 ■会社秘書役の権限
5. 株式 ■新株の発行 ■増資 ■減資

1.株主(株主総会)

■株主数

バングラデシュでは、非公開会社の場合には会社の従業員を除き、2名以上の株主、公開会社の場合には7名以上の株主を設置することが義務付けられています(5条)。これを6か月以上の期間継続して下回った場合には、すべての株主は株主数が最低株主数を下回っている期間に発生した会社が負う債務を個人的に支払う義務が生じます(222条)。
さらに、非公開会社の場合には、株主数の上限があり、50名以下でなければなりません(2条1項q)。

【最低株主数の比較】
バングラデシュ日本
公開会社非公開会社
最低株主数7名2名1名
株主数の上限なし50名なし
■株主総会

●株主総会の種類
バングラデシュにおける株主総会は、会社の登記日から18か月以内に開催され、その後、1年に一度開催される定時株主総会(81条)、取締役が必要と認める場合などに開催される臨時株主総会(84条)があり、公開会社の場合には、会社設立時に開催される創立総会があります(83条1項)

【株主総会の種類】
創立総会定時株主総会臨時株主総会
公開非公開公開非公開公開
内容会社役員の任命(83条3項d)、株式数の決定(83条3項a) 他決算の承認や取締役の選任・解任 他必要に応じて決定
招集の決定明文規定はなし(通常は発起人が招集)取締役(会)同左(84条1項)
招集時期事業開始日から1カ月から6カ月の期間以内(83条1項)設立登記以後18カ月以内必要に応じて開催
定足数5人以上・株主が6人以下の場合→2人以上
・株主が7人以上の場合→3人以上
5人以上同左
議決権 1株1議決権または株式100タカにつき1議決権(85条2項d)同左同左同左
決議方法 投票同左同左
議長明文規定はなし(通常は発起人)総会時に互選により決定(85条2項c)同左

●招集権者と招集通知
招集権者については明文規定がありませんが、通常は取締役が招集を決定することになります。株主総会開催にあたっては、株主全員への招集通知の発送により株主への伝達が必要となります(85条1項)。
また招集通知は、普通決議事項の場合は総会開催日の14日以上前に、特別決議事項の場合は21日以上前に発送する必要があり(85条1項a)、招集通知には場所、日時、議題を記載します。
また、定時株主総会の場合には全ての株主、それ以外の場合は95%以上の株式を保有している株主の書面による同意を事前に得ている場合には、上記の招集通知は短縮することができます(85条1項a)。

【招集権者と招集通知に関する規定】
バングラデシュ日本
招集権者取締役同左
招集通知発送方法書面通知書面又は電磁的な方法
※会社の形態により口頭も可
招集通知発送期限・普通決議事項は14日前まで
・特別決議事項は21日前まで
※書面での合意により短縮可
原則2週間前まで
※会社の形態により短縮可

●株主総会の決議
株主総会は会社の最高意思決定機関であり、役員の選任や決算書の承認、配当の決定、増減資など、会社にとっての重要事項は取締役ではなく、株主総会決議により決定しなければなりません。この点は日本と同じですが、定足数や決議条件などの点で異なります。

【普通決議と特別決議の比較】
バングラデシュ日本
非公開公開
普通決議決議内容・取締役の選任
・取締役の報酬
・配当
・会計監査人の選任
・決算書の承認 他
・取締役の選任
・取締役の報酬
・配当
・会計監査人の選任(大会社)
・決算書の承認 他
定足数・株主が6人以下の場合→2人以上
・株主が7人以上の場合→3人以上
5人以上議決権の過半数を有する株主が出席
決議要件出席した株主の過半数出席した株主の議決権の過半数
特別決議決議内容・定款変更
・取締役の解任
・増資
・減資
・合併
・会社の解散 他
・定款変更
・増資
・減資
・合併
・会社の解散 他
定足数株主の4分の3以上が出席議決権の過半数を有する株主が出席
決議要件出席した株主の過半数出席した株主の議決権の3分の2
その他登記局への報告義務――

●定足数
非公開会社の場合、定足数は株主の人数によって違いがあります。株主が6人以上の場合は2人以上、株主が7人以上の場合は3人以上が出席しなければ決議を行うことができません(85条2項b)。 一方、公開会社の場合、株主5人以上の出席が必要となります(85条2項b)。 また特別決議事項については非公開会社、公開会社ともに要件が厳しくなり、4分の3以上の株主の出席が必要となります。これを下回った場合の決議は有効とはなりません(87条1項)。

●議決権/strong>
会社法上、株主には、1株1議決権、もしくは、保有する株式100タカごとに1議決権が付与されます(85条2項d)。

●登記局への報告義務
特別決議事項を決議した場合には、決議日から15日以内に、登記局に対して通知を発しなければなりません(88条1項)。この通知を怠った場合には、会社及び役員に罰金が課されることになります(同条)。

2.取締役(会)

■取締役の人数
取締役の最低人数は非公開会社の場合は2名(90条2項)、公開会社の場合は3名となっています(90条1項)。しかし、非公開会社であっても、公開会社の子会社(private company which is a subsidiary of a public company)である場合は、取締役の最低人数が3名となります(同条)。したがって、親会社が日本で上場している場合には、3名以上の取締役が必要となります。
■取締役の国籍・居住性
バングラデシュの会社法上、非公開会社、公開会社ともに、取締役の国籍や居住地についての規定はありません。したがって、日本人であっても、また日本に居住しながらバングラデシュ法人の取締役に就任することができます。さらに、国籍の規定もないため、日本人のみで取締役を占めることが可能です。
■取締役の選任・解任
株主総会に取締役を選任・解任する権限が与えられているのは、日本と同様です。非公開会社、公開会社ともに選任決議は普通決議で行い、解任決議には特別決議が要求されます(106条)。
■マネージングディレクター
会社は、マネージングディレクター(MD:Managing Director)を任命することができます。MDは会社を代表して業務執行を行う権限が与えられます。
公開会社もしくは公開会社の子会社の場合には、他の会社のMDになっている者を選任することはできません(109条)。MDの任期は5年で、延長することが可能です(110条1項3項)。

3.会計監査人

日本では上場会社や会社法上の大会社のみに会計監査人設置義務がありますが、バングラデシュでは会社の規模・業種を問わず外部監査が必須とされており、全ての会社は会計監査人を設置しなければなりません(210条1項)。

■会計監査人の要件
会計監査人はバングラデシュ勅許会計士でなければなりません(212条1項)。また、会計監査人は会社との間に利害関係を有する者、取締役などの会社の役員、会社従業員、5%以上の株式を保有する株主、会社に対して一定額以上の債務を有する者などは選任することができません(212条2項)。

4■株式

■新株の発行
取締役は、授権資本の制限内で新たに株式を発行することができます。資本を増加する場合は以下の条件が求められます(155条1項)。株式は申込日において株主が保有している株式数に応じて割り当てられます。
割当株式数、申込期限を既存株主に通知し、15日以内に引受の意思表示がない場合は、新株の引受を辞退したものとみなさされます。
■増資
株式会社が増資をする場合、増資決議が行われた日から15日以内に増資した旨を登記局に対して通知しなければなりません(56条1項)。 通知には、発行する株式の種類及び発行条件、発行による影響を記載しなければなりません(56条2項)。
■減資
会社は、株主総会の特別決議の承認を得ることで、減資を行うことができます。ただし、会社資本が減少することになるため、裁判所の許可の他、債権者の異議申し立てを受けなければなりません。

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